私にとってこれから取り上げる「iPAQ H3970(以降H3970)」は一昨年末に購入した「hp jornada 568(以降j568)」から約1年ぶりに新規購入したマシンです。
# ただし,途中で液晶を割ってj568を買い直しています。
とはいえ,今回の購入はこれまでの買い替えと異なり,OSのバージョンアップやCPUの性能向上といった大幅な使い勝手の向上が見込めないこともあって,どちらかといえば『買い足し』に近いチョイスです。
私の現在のメインマシンであるところのj568は皆さんもご存知のとおり,HPとCOMPAQの合併によってiPAQのラインに一本化されることとなり,少なくとも名前の上では終焉を迎えました。
本記事では各ニュースサイトなど巷にあふれているH3900シリーズ関連記事と差別化を図るためにも,j568ユーザの視点からiPAQシリーズがjornada5xxシリーズ代替,ひいては後継足りうるのかを検討する材料を既存ユーザに提供することを目的として話を進めていこうと思います。
もちろん,他機種ユーザの参考にもなるよう配慮するつもりではありますが…どうなることやら。
# 私はH3800シリーズを満足にいじった経験がないため,H3600シリーズからH3800シリーズでの変更点とH3900シリーズでの変更点の切り分けが「特にソフトウェア部分で」十分にできていない点はご容赦ください。
なお,H3970とH3950の違いはBluetoothの有無とFlashROM容量(48MB/32MB)の違いのみですので,H3950に関してはその点のみ適宜読み替えてもらえばそのまま参考になるかと思います。
(記事公開日:2003/01/23)
参考リンク
まず,iPAQシリーズ全体と本H3970の特徴について簡単に概観してみましょう。
# 内容的にiPAQ既存機種ユーザと,他サイトのインプレ記事やスペック表に目を通された方は読む必要はありません。
# が,逆に時間がないひとはここだけ読めば十分です(^^;
iPAQシリーズの最大の特徴は通常Pocket PCの(ほぼ)唯一の拡張手段であるCFスロットを本体から廃して,外付けの「拡張パック」(通称「ジャケット」)を採用したことにあります。
さまざまなジャケットを使い分けることで,CFのみならずPCカードやVGA出力,Bluetooth,携帯電話モデムなど多様な機能拡張を手軽に,かつ周辺機器と本体との一体感を維持したまま行えるのが強みといえるでしょう。
# 主なオプションはオフィシャルサイトのオプション一覧を参照のこと。
反面,初代機(H3600シリーズ)は本体にメモリカードスロットを一切持たなかったため,PIM用途以上に突っ込んだ利用には本体のみでの運用は苦しく,ジャケットが必須となりちょっとしたことをやるにも「重くて大きくなってしまう」のが弱点として指摘されていました。
しかしながら,第2世代のH3800シリーズから本体にSDカードスロットが搭載されたため,主に『通信系のデバイスを利用しない限りは』本体のみでの運用も十分に可能になりました。
通信系に関してもH3870以降,末尾が「70」のモデルにはBluetoothが標準搭載されたので,ごく限られた通信端末に限定されるものの本体のみでも利用できる環境が整いつつあります。
今のところ『絵に描いた餅(後述)』ではありますが,H3900シリーズからはSDカードスロットがSDIOに対応したため,こちらを利用して通信を行うことも(少なくとも論理上は)可能です。
また,初代機はバッテリ容量が950mAHと小さく駆動時間の問題を抱えていたのですが,H3800シリーズ以降1400mAHと大幅に拡張され,さらにH3900シリーズで半透過型液晶(とXScale?)を搭載したことで払拭された形となっています。
上記液晶に関しては,12bitカラー(4096色)反射型液晶→16bitカラー(65536色)反射型液晶→16bitカラー半透過型液晶と変遷しており,表示品質が飛躍的に向上してきた点も特筆に値するでしょう。
この他にもH3800シリーズ以降のボタンの同時押し&斜め押しへの対応(後述)など,地道ながらも着実な進化を遂げつつあります。
iPAQの大雑把な特徴を掴んだところで,以降各要素について(必要以上に)細かくみていきましょう。
まずはハードウェアから。
なお,筐体に関してはH3900シリーズはH3800シリーズからの持ち越しですので,ほとんど変更はないと思ってかまいません。
# SDIO対応と液晶パネル周り,CPU変更が主な変更点ということになります。
ジャケットシステムの互換性を維持する必要性から,初代機とほぼ同等のサイズを維持しています。
裏を返せばサイズおよびレイアウトを大胆に変更できないという重い十字架を背負っているということもできますが,バッテリ容量の大幅な増加やSDカードスロットの搭載を実現しているので,GENIO
e550Gx(以降e550Gx)系の筐体と比較しないのであればまずは及第点といったところでしょうか。
# e550Gx系は4inch液晶+SD,CFの2スロット内蔵でiPAQ本体とほぼ同等のサイズですからねぇ(苦笑)
iPAQは装着するジャケットによって大きさも重さも大幅に変わりますが,ここでは本体のみの状態と,標準添付の「カバーパック(本記事後半に関連記事有)」,別売りオプションの「CF拡張パック・プラス(同後半に関連記事有)」を装着した状態で他機種と比較した印象を書きつらねてみましょう。
十分に薄いのですが,3.8inch液晶の周囲に大幅なマージンがとられたデザインはそこそこの横幅があります。
しかしながら(日本人を基準に考えて)手の小さいひとでなければ特に違和感を感じることはないと思います。
# が,長時間握っているとj568の横幅の小ささがうらやましくなることがあります。
本体の長さ(縦)はH3600シリーズよりも若干長くなっており,j568を上回っているので現行機種中では最大クラスです。Yシャツなどの胸ポケットに入れた場合(ポケットの)蓋をしめてボタンを閉じるには苦しいものがありそうです。
また,プラ筐体に銀色のメッキ塗装が施されているため,滑りやすいので汗ばんだ手で握ることになる夏場などには注意が必要かもしれません。
# ストラップホールのような気の利いたものは相変わらずありませんし(^^;
厚みに関しては液晶カバー(着脱可能)を閉じた状態でも液晶カバーを付けたj568とほぼ同程度なのでさほど問題は感じません。
しかし,横幅は横開きの液晶カバーが握る際に邪魔になるので不便に感じるひとも多そうです。
液晶カバーを外してしまえば,H36x0時代のジャケットと異なり中央部分に切欠きが入っていて本体が露出していますので握りやすさは本体単体時とほぼ同等。
もしくは,ジャケットが手に引っかかる分だけかえって握りやすいと感じるひとも多そうです。
この形態までであれば体感重量的には他のPocket PCと似たりよったりですので,胸ポケットに入れたりしない限りは重いと感じるシチュエーションは少ないと思います。
カバーパック同様ジャケット中央部が切りかかれている上,背面の下2/3はバッテリを外すことで薄型化できるので,握りやすさという点では問題ありません。
が,バッテリが装着可能な関係もあって厚みは従来のCF拡張パックよりも部分的に増しているので,装着するとかなりのボリューム感があります。
胸ポケットに入らなくはないけれど,入れたいとは思わないサイズといったところでしょうか。
重量に関しては,常に携帯するものとしてはちょっと重いかなといった感じです。
さらにCF拡張パック・プラス添付のスリムバッテリを装着すると,常時携帯にはちょっとした覚悟が必要なボリューム感と重量になります。
# 見た目も重さも超「GFORT(約300g)」クラスです(^^;
個人的にサイズ&重量重視なら,サードパーティ製のジャケット「Silver Slider」や「Dual-CF Expansion Pack(本記事後半に関連記事有)」などを利用することをおすすめしたいところです。
これは余談になりますが,筐体の造りは相変わらずアメリカンなというか「大らかな」造りになっています。
パーツの細かい合いやバリの処理などが国産メーカの製品などにくらべると甘いです。
この辺りの細かいところがどうしても気になるタイプのひとは,避けた方が無難かもしれません。
# 私のH3970の場合,本体上部の黒いパーツと本体との隙間が少々空いていて各種インジケータが点滅するとちょっと気になったりすることも(苦笑)
H3800シリーズまで採用されていた「Strong ARM(206MHz)」から,XScaleアーキテクチャを採用した新CPU「PXA250(400MHz)」にCPUが変更になりました。
が,紙面および私自身の理解度の都合上詳しくは触れませんが,(OSとしての)Pocket PC 2002はXScaleに最適化されていないといったことや,PXA250の(キャッシュ絡みの)仕様上実行速度の向上はあまり望めないというのが通説になっています。
では実際どうなのかといえばベンチマーク速度は明らかに向上しているものの,実用上は微妙に体感速度が速いと感じられることがままあるが,処理によっては明らかに遅いと感じられる場合もあるいった感じでしょうか。
# 逆に言えば,大騒ぎされたほどには速度低下は感じられません。
それに対して,エミュレータ(私の場合「PalmGB」を利用)や一部のゲーム(「えここdeふぁいと!」「なにクラ体験版」「ICBM」)などであからさまな動作速度の低下がみられます。
# えここ〜で10〜30fps差程度。
# 「Speed Stepper」などを使って472MHzにクロックアップすると随分とマシになりますが,メーカ保証外の行為ですしねぇ(^^;
「GENIO e550G」発売直後に話題になった動画再生性能に関しては,興味の埒外なので大した検証は行っていませんが「WindowsMediaPlayer」では明確な違いは見いだせず。
「PocketTV」に関してはブロックノイズがちょっと目立つかなといったところでした。
微妙に劣るといったところでしょうか。
# WMVはWMエンコーダ7.1で(Video
for color PDA device (225Kbps))でエンコード。
# MPEG-1はTMPG Encで(320*240/400kbps/25fps,音声モノラル/44100Hz/128kbps)でエンコード。
ベンチマーク結果に関しては,私が測定した結果をQtaさんのサイトで掲載して頂いているのでそちらをどうぞ。
MONO-Q Branch > benchmark
速度面に関していえば,今となっては選択肢がない以上どうしようもありませんが,CPUが自由に選べるならStrong ARMのままにして欲しかったというのが素直な感想です。
優秀といわれる消費電力に関しても,本H3900シリーズではe550Gx系のようにCPUのクロック数を『任意に切り換えることができない』ため常に400MHzで駆動している(と思われる)ので,クロック上昇分を相殺仕切れているか非常に怪しいものがありますし。
# 前出の「Speed Stepper」でクロックダウンするという方法はありますね。
とはいえ実用上パフォーマンスに問題を感じるほど遅いわけでもないので,気にしないのが(精神衛生上)吉かと思います。
# CPU問わず「Pocket Internet Explorer(以下PIE)」辺りの動作速度がもうちょっとどうにかならないのかなと思ったりすることはありますが(苦笑)
他サイトの記事でも再三触れられているとおり,本機の最大のウリともいえるのが新たに搭載された3.8inchの半透過型液晶です。
液晶解像度こそ従来通りの320*240と変更はありませんが,H38x0やj568,e550Gxとは比較にならない程美しい表示品質を持っています。
他機種のものもそれ単体でみている分には不満はあまりないのですが,本機の液晶と比べてしまうと明らかに数段見劣りしている印象を受けます。
# 他機種のそれはかなり青みがかっていて,眠い発色に見えます。
ただ,細かいことをいえば本機の液晶もやや色温度が低い感じ(赤が弱め?)で,発色も薄めな印象を受けますが,表示品質というよりは個人の好みの領域といってしまってもよいかもしれません。
# 個人的には発色の忠実さでは「CASSIOPEIA E-2000」と(手持ちの)「ZAURUS MI-E21」の反射液晶や,CASSIOPEIA E-7x0系の透過型液晶の方が優れているかなという印象を受けました。
# ただし,MI-E21はフロントライトにムラがあるので,個人的には暗い場所ではあまり美しい表示とも思えないのですけれど(^^;
また,フロントライトではなくバックライトを利用しているため,液晶全面が均一に照らされるだけでなく,液晶の奥まった感じや視野角の狭さもなく使い勝手の面でも大きく水をあけているといってよいでしょう。
# フロントライトには(フロントライトの)取り付け方向の反対側から覗き込んだ場合は特に視野角が狭くなるという問題があります。
バックライトもかなり明るめ,かつ細かい輝度調整が行えるようになっており,消灯〜輝度最大まで実用上無段階(目盛りは25段階)感覚で調節できるようになっています。
# 下から4目盛り目辺りでもj568の最大輝度と遜色ない程度には明るいので,ACアダプタ利用時以外最大輝度を利用する機会はないと思いますが(^^;
加えて,バックライトが明るいわりには画面がギラついているような印象もなく落ち着いた印象で,本体を横向きにして横画面(いわゆるLandscape)で使っても違和感なく利用できる辺りは,E-7x0系の透過液晶よりも優れているといってよいのではないでしょうか。
# 横方向の視野角及び視認性にも優れるということで,美少女ゲームのエミュレータ(というのかな?)を走らせるのにも最適といえそうですね。
# 「視野角が広すぎて周囲のひとからも丸見え」なことを除けば。ですが(笑)
それと月並みな感想ですが,3.5inch液晶を採用したj568から3.8inch液晶搭載機に戻ってきて「画面が大きいと見やすくていいなぁ」と改めて実感させられました。
たった0.3inchの違いですが,かなり違って感じられるものですね。
# もっともe550Gxには4inch液晶が搭載されているわけですが,現状の解像度ならこのくらいで十分かなと。実際に使ったら意見が変わる可能性大ですけど(笑)
なお,iPAQ伝統の光センサによるバックライトの自動調光機能が搭載されていますが,薄暗い場所でのスポット照明下や日影などの中途半端に明るい場所では意図せずバックライトが消灯してしまい,もどかしく感じられる点はあまり改善されていないようです。
室内利用はともかく,頻繁に外出先で使うひとは後述のバッテリ駆動時間のこともあり,輝度固定の常時点灯感覚で利用してしまった方が便利だと思います。
最後に直射日光下および,日影などの半端な明るさの場所での視認性ですが,直射日光下では反射型に僅差で劣り,日影では(バックライトの光量の高さもあり)本半透過型液晶の方が視認性に優れるというのが私の印象です。
もっとも液晶の表示品質などというものは,いくら言葉を尽くしたり写真を載せたところであまり実感できないところですから,結局のところ実物を見るに限ります。
H3900シリーズの展示機が置かれている場所は残念ながら非常に限定されているのが実情ですが,秋葉原だと「イケショップ」に展示されていましたので,都合がつく方はいちど見に行ってみることをおすすめします。
蛇足ながらH3970の液晶表示品質の高さを示すエピソードを1つ。
「Theme Generator v2.0 for Pocket PC 2002」でTodayテーマを作る際,背景画はデフォルトではJPEG(の約75%近辺)で圧縮されるのですが,このままの状態だと絵柄にもよりますがH3970の画面ではブロックノイズが目立って,なんだかとても小汚く見えます。
# j568でも目を凝らして見ればちゃんとブロックノイズを判別できましたが…
# まぁ,画面のサイズの違いもあるのでしょうけどね。
おかげで,j568用に作ったテーマをせっせと作り直す羽目になってしまいました。
# これが嬉しい悲鳴というやつでしょうか?(笑)
はじめに結論を書いてしまいますが,バッテリは容量が大きいこともあってかなり持ちます。
バックライト消灯時こそバッテリ容量のわりに平凡な数値ですが,「バックライトを十分な明るさで点灯した状態」での連続駆動時間を比べるなら,間違いなく現行Pocket PC中最長の駆動時間を誇ると思います。
※ とか書いていたら有力な対抗馬「CASSIOPEIA E-3000」が発表になっちゃいました(笑)
私の経験では大抵のマシンはフロントライトを点けっぱなしにした状態で,データ閲覧(ファイルオープン,スクロール,クローズの繰り返し)を続けた場合,連続で5〜6時間利用できれば優秀な方(j568とか)ですが,本機の場合8時間以上余裕で利用できたなんてこともありました(^^;
恒例の「Windows Media Player(以降WMP)」による連続再生時間テストも行いましたが,結果は9時間47分で演奏停止となりました。
# Panasonic製 64MB SDメモリカード上の64kbpsのWMAファイル3つをリピート再生。インナーイヤータイプヘッドフォン利用で音量は50%(近辺)。液晶表示OFF。スタンバイ期間(後述)は25時間。EUU3適用後にテストしたためVer.は8.5です。
j568は同様(ただしこちらはCF利用)の実験で13時間1分を記録したのに比べると,バッテリ容量のわりには持たないなというのが正直な印象ですが,実用上問題ない結果といってよいと思います。
上記結果からも,フロントライトを搭載した反射型液晶採用機にありがちだった画面を明るくすると(CPU負荷に関わらず)ガクっと駆動時間が落ちるといった問題は本機とはほぼ無縁といってよさそうです。
この辺りは透過型液晶搭載機もほぼ同様の傾向を示していたこともあり,半透過型液晶の御利益といってよいのではないかと思います。
# まぁ,XScale絡みの御利益も否定はできませんが,比率としては低そうな気がしますね。
# 画面を十分に照らすには,フロントライトの方が輝度をあげる必要があるという話も小耳に挟みましたし。
AirH"や無線LAN(特に後者)で繋ぎっぱなしにしたり,動画を連続再生し続けない限りは通常利用で1日の内にバッテリを使い切るのは難しそうですから,十分実用的な駆動時間を実現しているといってよいのではないでしょうか。
ただ,残念なことに本機に搭載されたバッテリ(1400mAH)はj568(1230mAH)と異なり,内蔵式となっており交換は不能となっています。
しかしながら本記事末尾で紹介予定の(CForPCカード)拡張パック・プラスのバッテリは,外付けバッテリから順に消費するという嬉しい仕様(+充電器もラインナップ)になっていますので,本体内蔵バッテリの劣化さえ気にしなければかなり理想的な仕様を実現しているといえそうです。
スタートメニュー→設定(コントロールパネルに相当)の「パワーマネジメント」にある「残りのバッテリ電源(残量インジケータ)」は1%刻みになっており,ジャケットに装着された外部バッテリの残量もきちんと表示される辺りも嬉しいところです。
# なお外部バッテリに関してはグラフ表示のみで,正確なパーセンテージは表示されません。
余談になりますが,iPAQはj568やCASSIOPEIA系と違って,メモリバックアップ用のコイン電池を内蔵していません。
そのため,バッテリ切れになっても本体RAMの内容をある程度保持しつづけるために,バッテリの残量が一定値を下回った場合,電源が投入できない仕組みになっています。
H39x0では上記「パワーマネジメント」(のスタンバイタブ)で「スタンバイ期間」を概算時間で指定することができ,前述のメモリバックアップにどの程度のバッテリを回すかユーザが明示的設定してやることが可能となっています。
# デフォルトでは75時間に設定されており,これを最低の25時間に短縮すると(同画面の表示を信用するなら)1時間程度の動作時間の延長が期待できるようです。
概観でも既に述べましたが,本機の本体にはSDカードスロット(正確にはSDIO/MMC カードスロット,セキュリティ機能には未対応)を1スロット備えるのみという控えめの構成となっています。
CF型のPHS通信カードが全盛の日本市場においては致命的と言えなくもありませんが,必要であればCF拡張パック・プラスなどを利用すればよいので,ジャケット装着時のサイズ増加に妥協できるひとであれば問題ないでしょう。
また,何度か既に触れていますが,拡張パック・プラスは従来のPCカード版だけではなくCF版もバッテリが装着可能になっているので,通信時の電力消費を考慮に入れれば悪くない選択といえるのではないでしょうか。
# CFスロット×2やPCカードスロット×2といったジャケットも選択可能ですし,ここら辺の拡張性の高さはiPAQシリーズの強みといえます。
本SDカードスロットはスペック上はSDIOにも対応していることになっていますが,ドライバは「後日Webなどで提供予定」となっており,期待のSDカード型AirH"端末「AH-S101S」が発売されたにもかかわらず,未だ音沙汰なしで対応予定PDAへの記載すらない状態。
まさに絵に描いた餅ですので,過度な期待はしない方がよいかもしれません。
気になるSDメモリカードの認識名ですが,「メモリ カード」としてルートフォルダにマウントされる仕様になっています。
2スロット搭載機で主流になりつつある「SD カード」といった独自名にはなっていません。
ただ,本機の場合CFスロットが拡張パック側にあり,SDより後に認識されるため(だと推測)カード名の入れ代わり現象(電源ON/OFFなどでSD側がメモリ カード2になってしまったりする現象)に遭遇した経験はまだないので,実用上問題ないと思います。
ただし,iPAQはPocket PCでは例外的に内蔵,外部問わずメモリカードを抜き差ししても電源が勝手に入らないので,CFを抜き差ししていたら認識名が変わってしまったというパターンはありますが。
なお,読み書き速度に関しては体感上CFよりも早く感じられる程ですので,メモリカードスロットとしてとらえるなら全く問題なく利用することができます。
# j568のような不具合とは無縁ですのでご安心を(苦笑)
K.K.さんのところのH3970の記事↓中にベンチマークが掲載されていますので,興味がある方は参照するとよいでしょう。
モバイルインチキ堂 > ぷろじぇくと2002 > iPAQ3970を買ったその2
ちなみに,SDカードスロットのカバーはダミーカードとなっていますが,サイズがサイズですし1つしかないメモリカードスロットを空にしておくというシチュエーションも少ないでしょうから,特に問題はないと思います。
# いっそ買ったら即抜いて,そのまま箱にでもしまってしまいましょう(笑)
現在のPocket PCの主流64MBのRAMが搭載されており,従来通り全領域を「データ記憶用(ストレージ領域/PCの場合HDDに相当)」と「プログラム実行用(同メインメモリに相当)」に自由に(無段階調節ではありませんが)振り分けることができるようになっています。
# とわざわざこう書いたのは,海外では「iPAQ h1910」のようにフラッシュROMの削減(とタイプ変更(NOR→NAND)?)によってRAM領域が一部OSに占有され,ユーザ領域が制限(48MB。さらにWMPなど一部アプリを利用するためにユーザ領域にインストールする必要あり)されるマシンが登場しているためです(^^;
記事冒頭で少し触れましたが,H3970はFlashROMの搭載量が48MBとH3950や他社のマシンの32MBに比べると若干多くなっています。
この余った容量を不揮発性のストレージ領域として利用できるというのが売りのひとつになっています。
実際の運用としてはj568の同種の機能(hp safe store)と同じようにルートフォルダに「iPAQ File Store」という名前のフォルダとしてマウントされているので,「FileExplorer」などを使って通常のフォルダと同じ感覚で利用可能です。
不揮発性なので,フルリセット時(バッテリが完全放電した場合含む)にもデータが保存されるので,最悪の事態に備える意味で重要なデータやソフトなどを保存するのに最適と一見するといいことづくめのように思えますし,実際マニュアルには「重要なアプリケーションはここにインストールしてください(意訳)」などと書かれているのですが,実はそうは問屋が卸さないのが現状だったりします。
j568なども同様の問題を抱えていたのですが,FlashROMはRAMに比べて読み書き速度が遅いため,巨大なファイルの書き込み(たとえばPocket WZ Editor(以降PWZ)の本体)時にフリーズする場合があったり,アプリケーションボタン登録をして電源切断状態から起動した場合にフリーズしたり,極めつけに外部情報ファイルを持ったアプリケーションの場合(推測ですが)データ読み込みが間に合わないのか正常に起動しなかったり(たとえばこれまたPWZ)と,およそRAMと同様の感覚で利用するのは難しいものがあります。
# ただし巨大ファイルの書き込みに関しては,私の環境ではEUU3適用後はActveSync経由なら2MB程度のファイルは問題なく書き込めるようになったようですが。
読み書き速度が遅いという特徴を抑えた上で,各人でうまく活用する方法を見つけてみるのも面白いかもしれません。
# 私の場合PWZ,「TOMBO」,レジストリエディタと各種DLLファイル,重要なデータファイルなどの「バックアップ領域」として利用しています。
まぁ,大事なデータの格納場所としては悪くありませんので「おまけ程度」に思っておけば腹も立たないでしょう。
ちなみにH3970の「iPAQ File Store」の容量ですが,設定→メモリのメモリ カードタブによれば15.38MBとなっています。
これは私見ですが次期バージョンのPocket PC(OS)の日本語版が32MBに納まるかどうか怪しいと常々思っているので,『他機種よりは』バージョンアップサービスに期待をもてる『かも』しれないななんてことも夢想していたり。
# もっとも,メーカにとってはバージョンアップ失敗時のサポートを含めて価格的に折り合いをつけるのが難しそうですので,次回も同様のサービスがあるとは思っておかない方が精神衛生上はよい気もしますが(苦笑)
本体前面下部中央についている横長の楕円形のボタンです。
iPAQの伝統に則り,上下左右のカーソルボタンに加え,ボタン中央を垂直に押し込むことでアクションボタン(決定/Enter動作)として利用することができます。
一応斜め押しや,他のアプリケーションボタンとの同時押しにも対応しており,アクションゲームなどに利用することも可能となっています。
…とここまではよかったのですが,問題はその操作性です。
本機の最大の欠点はここじゃないかと思う程度には操作性が悪く,たとえばスタートメニューからプログラムを選択しようとしても押し込んだ拍子に意図しないプログラムが選択されてしまったといったことが頻繁に発生します。
# まぁ,同様のことはGENIO eシリーズなどにもいえるわけですけれど(^^;
# 携帯電話などこの手の決定機能付きのカーソルボタンは操作性がイマイチと評されることが多いのですが,私の場合そのような評価を受けたものでも難なく使いこなせる自信があるにも関わらず誤選択が頻発するところをみると,一般の感覚からするとおよそ箸にも棒にもかからないレベルの操作性しか持ち合わせていないのではないかとすら思えてくるのですが,これは大げさに過ぎるのでしょうか?(苦笑)
さらにこちらはH3600シリーズの頃から感じたことですが,縦長の筐体のかなり下の方にナビゲーションボタンがついているため,トップヘビー気味で片手で本体を保持しつつ操作しようとすると,かなりバランスが悪いのもちょっと頂けない感じがします。
また,横長に偏平したボタン形状からも一目瞭然ですが,斜め入力もあくまで「入力できる」といったレベルのお話で,快適に入力できるわけではありません。
# もっとも,おかげでうっかり斜めに入ってしまうタイプの誤入力とはほぼ無縁といえるのですが(^^;
私が今まで愛用してきたj568は,ナビゲーションボタンとアクションボタンが分離しており,操作性が非常によかっただけに苦痛に感じられるのはなんとも残念な限り。
私のお気に入りのゲームに「PocketKobo」というソフトがあるのですが,この8方向スクロールシューティングをj568とH3970でプレイした場合,難易度にかなり(クリア面数にして10面分以上)の差が生じますので,ゲーム用途で購入を検討している場合は動作速度の件と合わせて十分な検討が必要でしょう。
斜め入力に限らず,横長のナビゲーションボタンを押す指とアプリケーションボタンを押す指が干渉しやすいうえ,どうもキーバッファに入力が溜まっているのではないかと疑いたくなるような挙動を(別のゲームでも)示すことがあります。
ボタンの同時押し&斜め押しが不可だったH36x0の欠点を改良したわりに肝心なところに気が回っておらず,使い勝手をスポイルしてしまっている点は本当に残念でなりません。
また,CASSIOPEIA系や「Pocket LOOX」,「PocketGear」のような本体側面のアクションコントロール(いわゆる偽ジョグダイアル)がない以上,ナビゲーションボタンの操作性にはこれらの機種以上に気をつかってもらいたいものです。
この辺りはj568のボタン配置などを参考にして,改善を望みたいところですね。
# 実際HPの血が入ったと思われる新機種「iPAQ h5450(日本未発表)」ではナビゲーションボタンの位置がやや上よりに移動しており形状も真円になって,海外のレビュー記事などでも操作性が向上したと書かれていたりするようですので,大いに期待したいところではあります。
従来機同様,ボイスレコーダボタンが本体上部左サイドに1つ。
本体正面下部,ナビゲーションボタンの周囲に4つの計5つのボタンが配置されています。
ナビゲーションボタンの項で述べたとおりゲーム用途としては配置がいまひとつな部分がありますが,通常利用時の押し心地や使い勝手などには特に問題ありません。
大きさ的にも(ボイスレコーダボタンを除く)4つとも,スタイラスの尻で押しやすいようなサイズになっています。
# ナビゲーションボタン表面の溝は逆にスタイラスのペン先で操作するのにいい感じですね。
また,同4つのボタンの周囲にはくぼみが設けられているので,液晶カバーを外した状態でもうっかりボタンが押されてしまって電源が勝手に入ってしまうというトラブルはある程度避けられそうな感じです。
H3600シリーズでは印刷だった各ボタンのアイコンイラストが凹モールドになり,ハゲなくなった点は地味ですが嬉しい改良点といえるでしょう。
# 電源ボタンも同様にモールド+墨入れ仕様になっています。
ただ,j568のような各ボタンの長押しや,CASSIOPEIA系のようなアクションボタンとの同時押しといったボタンに割りつけるソフトの数を増やす工夫は一切行われていない点はちょっと物足りなさを感じさせられます。
# 「VITO ButtonMapper」や「BtnPlus」、「TTPalmKey」などのオンラインソフトを利用するという方法はありますが,デフォルトでできるに越したことはありませんし。
完全に余談ですが国内未発表のh5450ではボイスレコーダボタンがやや大型化し,2つに分離され中央押しと合わせて3ボタン構成になったので,後継機ではアクションコントロール代わりに使えるのではないかと期待しているのですが,果たして?
# 今のところボリュームの+/−とボイスレコーダボタンにしか使えないらしいのですが。
# どちらかというとスマートフォン需要を見越しての仕様変更なのでしょう。
従来機種と同様,本体前面右上にあります。
スタイラスを取り出す流れで電源を入れるのには,丁度よい位置といえるでしょう。
例によってボタンの周囲が窪んでいるので,カバンの中などで間違って押されてしまう可能性は低そうです。
押し心地も全く問題ありません。
アイコン表示が印刷ではなくモールドになったのは上記のとおり。
ところで電源ボタンといえば,私の環境に限定されるかもしれませんが謎の現象が発生しています。
もともとiPAQシリーズはジャケットの初期化時間の関係なのか,電源ボタンを押しても即電源がOFFにならなかったりと即応性にかける嫌いがあったのですが,電源切断後数分すると勝手に電源が入るという症状は本機がはじめてです。
当然日に一度とかではなく,何度でも発生します。
Bluetoothがらみかなとも思ってはいるのですが,BluetoothをOFFにしていても発生する辺り謎としかいいようがありません。
# ただ,自動電源オフによる電源断ではちゃんと切れているような気がするので,結局のところ諦めて放置していたり。この辺りバッテリ駆動時間に余裕があるマシンならではの対応といったところでしょうか(苦笑)
また,上記との関連かもしれませんが,電源が上手く切れないので何度も押していると電源ボタンが反応しなくなり,ソフトリセットする羽目に陥ったことが何度かありました。
# まぁ,2カ月酷使して2〜3回といった程度なので,そんなに神経質になる必要もない話だと思いますが(^^;
これとは別件(かどうか自信なくなってきましたが)で,電源を切った状態でクレードルの上に置いておくと,いつのまにか電源が入ってしまうという症状も発生するようになったのですが,これはどうやらiPAQの問題ではなくEUU3を充てたことが問題のようです。
# 母艦側(と本体側)のActiveSyncの[オプション]のスケジュールタブにある「PC と接続されているときに、次の間隔で自動的に同期する」のチェックを外すことで,どちらの症状も納まったような『気がします』(^^; <引き続き検証中 <どうやら効果がありそうです
H3600シリーズの薙刀状の偏心した楕円形の断面形状から真円になり,リリースボタンが廃止されてスタイラスの尻を押し込むとポップアップするタイプに変更になりました。
従来のスタイラスは挿入方向を間違えて無理に差し込むと抜けなくなることもありましたから,個人的には素直に歓迎したいところです。
また,本体上面にはSDカードスロットとスタイラス穴が並んで配置されていますから,どちらも押し込むことでポップアップさせて取り出すというユーザインターフェースの統一が図られている点も細かいところですがポイントが高いですね。
# というのは深読みしすぎでしょうか(^^;
H3600シリーズはスタイラスのストッパー(プラ部品)の強度に問題があり,破損報告を目にしたものでしたが,本機ではどうなのでしょう。気になるところではあります。
なお,スタイラス本体に関していえば,他のマシンの芋の尻尾のような短いスタイラス(e550GxやPocketGear)や,軽量化のためにフニャフニャのプラ棒状態のもの(j568)に比べると長さ,強度ともに最低基準をクリアした優れものです。
仮にもペン(スタイラス)オペレーションを標榜するのなら,こういった部分には手を抜いてもらいたくないと思うのは私だけでしょうか。
個体差かもしれませんが,手持ちのH3970のタッチパネルは今まで使ってきたマシンにくらべ,感度,精度ともにぐっとよくなっている印象があります。
お絵描き系のソフトを使うとわかるのですが,従来のマシンでは筆圧を強くかけないと線が途切れてしまったり,突然線が跳ねたり,液晶周辺部での歪みが大きかったりしたのですが,本機ではすんなり思ったところに線を引ける気がします。
# とはいえ所詮は似非絵描きの感想ですので,鵜呑みにせずに実機で試されることをおすすめしますが(^^;
液晶の発色もいいですし,もしこれが個体差ではなく機種自体の特徴であれば大きな液晶(3.8inchですが)と相まってお絵描きに最適のPocket PCといえるかもしれませんね。
掲示板にて情報をいただきました(多謝!)
H3850とH3950を比較した場合,後者の方が感度がいいのが体感できるそうです。
余談になりますが,本機の場合(WMPなどで)液晶表示をOFFにするとタッチパネルもOFFになるので,液晶カバーを外していたらポケットの中で演奏が停止してしまったなんてことにならないのは便利ですね。
# j568やPocketGearだとタッチパネルはOFFになりません。
H3600シリーズと同様本体上面左角に用意されています。
H3600シリーズの初期ロットは端子の挿し心地が非常に緩く簡単に端子が抜けそうで怖かったのですが,本機も個体差かもしれませんがかなりゆるめになっていたのは少々残念なところです。
# 本機のスピーカはかなり大きい音がでるので,電車の中などで音楽を聴いている時に引っこ抜けるといったトラブルが発生しないことを祈りたいものですね(苦笑)
再生品質に関しては曲中はもちろん,曲間のノイズも小さめでかなり優秀な部類に入るのではないでしょうか。
# 全くノイズが入らなかったE-2000には劣りますが。
なお,スタートメニュー→設定の「Compaq オーディオ」から「低音強調」と「高音調節」という簡易イコライザのような機能を利用することができます。多大な期待は禁物ですが。
# 上記設定の絡み,もしくは私の環境(利用ソフトとの相性)の問題かもしれませんが,何かの拍子にWMPの再生音質が低下していることがあるようで,この状態だとパーカッションなどは聴くに耐えない音がでるのがちと困りものかもしれません(苦笑) <リセットすれば直ります
スピーカ,マイク共に本体上部の黒い部分に搭載されています。
私はてっきり,音声通話対応に向けてスピーカを移動させたとばかり思っていたので,スピーカ横にマイクがあると知った時にはちょっと意外に感じられました。
# この誤解の原因はどうやらこの記事の写真のキャプションにあったようです(^^;
# なおh5450ではきちんと本体下面中央に移動している模様。
マイクに関しては従来通りオートゲイン(自動感度調整)機能がついており,ヘッドフォン端子の項で触れた「Compaq オーディオ」で設定を変更することができるようになっています。
ボイスメモを積極的に利用したいひとには重宝する機能かもしれません。
ちなみに,スピーカの出来に関しては,PDAに内蔵されているものとしてはかなり優秀な部類に入ると思います。
ボリュームはここまで大音量で鳴る必要があるのか?と思うくらい大きな音がでますし,音質もわりと良好な方でしょう。
ボリュームに関していえば,アラームなどを鳴らす際には重宝しそうです。
# 音質の方は他機種に比べると抜けがいい感じですかねぇ。
ただし,ボリュームが40%を超えた辺りから,金属質で耳障りな面が目立ってきますので大ボリュームでの音楽鑑賞に利用しようといった用途にはちと無理がありそうです。
# とはいえ,およそ我慢ならない耳障りな音しかでなかったH3600シリーズに比べれば,著しく品質が改善されたといっても過言ではないと思いますが(^^;
上記の黒い部分の左端に「アクティブ Bluetooth インジケータ」,反対の右端に「アラーム/充電ランプ」が装備されています。
前者が青く,後者がオレンジに点滅する様はなかなかに見栄えがし,デザイン上のよいアクセントになっているといえるでしょう。
また,アラーム/充電ランプは充電完了後はオレンジに点灯(点滅なし)し,アラーム時には緑に点滅するようになっています。
バッテリの充電が終わるとランプが消える機種が増えていますが,これだと充電が終わったのか電源が供給されていないのか判断しにくいですし,こうした細かいところに気が配られているのは嬉しいところです。
で,Bluetooth〜の右横,マイクの下にある透明パーツがバックライトの自動調光に利用される光センサです。
Todayのタスクトレイ領域に常駐しているアイコンからポップアップするメニューで「無線電波オン」を選ぶことで,内蔵のBluetooth機能をONにすることができます。
したがって,Pocket LOOXのようなハードウェアのON/OFFスイッチは用意されていません。
またBluetoothによるActveSync接続やBluetoohtの設定メニュー「Bluetooth マネージャ」も,同じくタスクトレイアイコンから起動することができます。
送信電力を低,中,高から選択できるのですが,試しに低でBluetooth(シリアル)接続によるActveSync接続経由でインターネットに接続しPIEでブラウズしたところ,5時間以上のブラウズが可能でした。 <あまりちゃんと計っていなかったのですが
Bluetoothご自慢の低消費電力は伊達じゃないといったところでしょうか。
通信相手(デバイス)さえ確保できるなら実用性も高く,面白い機能だといえそうです。
# 確保できないのが現状だったりするわけですけどね(^^;
なお,BluetoothをONにする際「ドライバ用メモリが不足しているため、Bluetooth無線をオンにできませんでした。Bluetooth無線をオンにするには、ソフトリセットを実行する必要があります。すぐにリセットしますか?」といったダイアログが表示される場合が(多々)あります。
# iPAQはジャケット絡みなのか,スタートアップアプリケーション(と読み込んでいるであろうドライバ)が多めなせいか,こういった問題が出やすいのかもしれません。
# 私の環境では「ATOK for Pocket PC」と「IMFixToday」を入れた状態では,起動直後でも上記ダイアログが表示されてしまいBluetoothをONにすることができませんでした(^^;
本体下部中央前よりに「充電/通信ポート」が,後ろよりに「拡張パック コネクタ」が装備されています。
名称からもわかるとおり,H3600シリーズと異なりDCジャック(電源プラグの差し込み口)がなくなり,通信ポート(シリアル/USB)が電源ピンも含まれる新しいものに変更になっています。
# 外見は似ていますが,爪などの形状も違うので誤挿入の心配はありません。
したがって通信ポートに接続するタイプの周辺機器は,H3600シリーズとH3800シリーズ以降では互換性がなくなっているので注意する必要があるでしょう。
# 外付けキーボードなど。
クレードルを利用せずに充電する場合はACアダプタ側の電源プラグ(従来のものと形状は同一)に標準添付のチャージャアダプタを接続して,充電/通信ポートに接続する形になります。
ちなみに,チャージアダプタはACアダプタ側に着脱可能のゴムバンドでぷらさげる格好になっているので,紛失の心配がないのは嬉しいところです。
なお,海外メーカの製品ということで携帯電話用のモデム機能などは相変わらず搭載されていないので,本コネクタに携帯電話やPHSをケーブル接続して通信を行うことはできません。
拡張パック コネクタに関しては従来どおりの形状です。
が,コネクタ周囲の切欠き部分のエッジが落とされ丸くなっているおかげで,本体単体で握った際やポケットに入れた時の引っ掛かりがなくなっているのは見逃せないポイントでしょう。
iPAQシリーズは拡張専用のバスを用意しているだけあって,他機種のように拡張ユニット(主にPCカードユニット)を接続するために,CFコネクタをつぶしたり(j568),通信コネクタを利用するため転送速度が犠牲(推測ですが)になっていたり(e550Gx)しないのは長所ですが,反面本コネクタの搭載スペースを稼ぐためにCFスロットが犠牲になっているという見方もできるかもしれません。
一見省略されてしまったかのように見える赤外線ポートも本体上部の黒いパーツの上面右側(マイクの反対側)にあります。
# って,赤外線リモコンソフトが新たにバンドルされている以上省略されているはずもありませんけどね(笑)
従来機同様,下面右側についています。
フルリセットスイッチはなくなりました。
フルリセットをするには左右端(外側)のアプリケーションボタン2つ(つまりは1と4)を押しながら,画面が消えるまでリセットボタンを押しつづければOKです。
あとはクレードルなどに繋いで給電するか再度リセットボタンを押せば,システムが再起動します。
# マニュアルに載ってないような気がするのですが,私の探し方が悪いんですかね?(PDFマニュアルに対して検索をかけたりもしましたが。)
# 索引も「リセット」すら載っていない代物なので,使い物になりませんし。
# ちなみに,H3800シリーズのマニュアルには載っていました。
# さらにいうなら用語がフルリセットからハードリセットにいつのまにやら変更になったようですねぇ。何故でしょう?
従来のデザインを踏襲した,曲線を多用したデザインになっています。
前面下部のロゴマークの辺りに微妙な膨らみができたのが,外見上の相違点でしょうか。
従来と同様にiPAQ本体を差し込む部分には両脇にスライド式(ロック機能付き)のパーツがあり,本体のみでもジャケット装着時でもクレードル側のパーツ差し替えなどをせずに利用できる点はポイントでしょう。
その他にもスタイラスの断面形状が真円に変更になったことで,クレードル前面のスタイラス立て(用の穴)の形状も若干変更され,スタイラスを立てたときの座りがよくなっています。
本クレードルはUSBとシリアルが兼用になっている…のはいいのですが,クレードルから直付けされた(各々のコードを2本まとめた)太いコードが伸び,さらに先端が分岐してコネクタが2つぶら下がっているのは正直鬱陶しく感じました。
シリアルに対応させるならクレードル側にシリアル端子を設けて,ケーブルを同梱してほしかったというのが正直なところです。
# もっとも,あのデザインではそんなスペースは無い気もしますが(^^;
また,本体下面左にあったDCジャックが省略され,充電/通信コネクタだけになった弊害なのでしょうが,本体単体でクレードルに挿入しようとするとコネクタの位置合わせが上手くいかず,まず一回では正常に接続できないほど差し込みにくくなっている点には閉口させられました。
現在「ツクモ電機DOS/Vパソコン館」などで販売されているクレードルはH39x0添付のものではなく(海外記事などでみた)h5450添付のものに変更になっているようですので,改善されていることに期待したいところです。
# ひょっとすると本体添付品も切り替わっているかも?
手元に物がないので比較できないのですが,H36x0の頃と同じものが添付されているような気がします。
ので,相変わらずの大きさですね。
ワールドワイド対応であることを考えると,仕方がないのかもしれません。
せめてブレードが畳めるといったひと工夫があると嬉しかったのですけれど。