iPAQ Pocket PC H3970 インプレッション その2

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各論ソフトウェア編

次に簡単にソフトウェア周りについても触れておきましょう。

バンドルソフトが豊富だったH3800シリーズと異なり,大胆な低価格(H3950が49,800円)を実現するためかバンドルソフトは極端に絞り込まれています。

内容は大体以下のとおりです。

主なMicrosoft Pocket PC Software 2002 Premium Edtion標準搭載アプリ

主なROM内蔵ソフト

サードパーティ製ソフト

さらに母艦用の同期ソフトActveSync3.5とOutlook 2000がバンドルされています。
# Outlook 2002のバンドルは2002年12月をもって終了し,以後Outlook 2000をバンドルする旨ニュースリリースがでています

一般販売されている「EasyViewer」や「モバイルアトラス」「JRトラベルナビゲータ」などはともかく,後日入手不能(ですよね?)な「Virtual GAME GEAR」くらいは残して欲しかったような気もしますが,CPUがPXA250に変更になった関係で十分なパフォーマスンが出なかったりするのかもしれませんねぇ。

標準搭載アプリ

OS(ソフトウェアセット)としてのバージョンが上がっていない以上当然ともいえますが,他のPocket PC 2002搭載機と比べてこれといった変更点はありません。

日本語版にはなぜか「TerminalServiceClient」が含まれない点まで一緒です。

各ソフトについてや,OSとしてのPocket PC 2002が気になるひとは当サイトのj568のインプレが『多少は』参考になるかもしれません。

Windows Media Player

WMPに関しては本機の後に発売された東芝の「GENIO e550GX/GS」と違って旧バージョンの8が搭載されています。
# Build番号もj568のものと同じ「0103」でした。

個体差の可能性もありますが,私のH3970ではバックライト輝度の自動調光をONにしておくと,WMPの(ボタン割り付けによる)「画面表示オン/オフ」機能を利用した際に,周囲の明るさによって画面のみ消えてバックライトが消えないという症状がでています。
# この現象はWMP8,WMP8.5問わず発生しました。

新バージョンの8.5は見た目(Skin)が変更になったことやパフォーマンスが改善されたことなどが主にうたわれていますが,実用上はプレイリスト作成機能でフォルダ単位でファイルを選択できるようになった点がもっともメリットが大きいと思います。
# 実際パフォーマンスの方は使っていてもどう変わったのか分かりませんし(^^;
# WMAのVBRに新たに対応している模様。

H3900シリーズを含むiPAQでもEUU3(End User Update 3)を充てることで利用できるようになりますが,現在のところ米HPのサイトでのみの配布となっています。

公開されているもの自体は日本語版で(j568のそれとは異なり)日本語ドキュメントも同梱されていますが,FlashROMの書き換えを伴うパッチですし,メーカのサポートを期待したい向きは日本向けサイトで正式公開を待つのが吉でしょう。

適応はくれぐれも自己責任で。
# ∴ダウンロードページへの直リンクは張らないでおきます。

既に日本語サイトでも公開済みの旨,掲示板にて情報をいただきました。

なお,EUU3を充てると,ActiveSync接続時にSIP(入力パッド)に手書き入力が選択されているとゲスト接続されてしまうという不具合が報告されています。
# SIPの選択に関わらずゲスト接続になったことも何度かありますが(苦笑)

一応「IMFixToday」を導入することで回避はできるのですが,EUU3を充てる場合はこの辺を秤にかけた上で判断することをおすすめします。
# ちなみに私の場合,H3970,j568共にEUU3導入後にパートナーシップを一端解除し,再度パートナーを結んだところ以後ゲスト接続にはお目にかかったことがありませんが,偶然うまくいっているだけかもしれません(^^;;;

ROM内蔵ソフト

Nevo (Universal Remote Control)

Nevo
Nevo
汎用のボタンパーツを組み合わせる関係もあって,デザインはいまひとつ

家電(主にAV機器)をコントロールするための赤外線リモコンソフトです。

さまざまなメーカの製品がプリセット情報として用意されているため,ウィザードにしたがってメーカを選択していくだけで簡単に利用でき…ることになっていますが,ローカライズが十分ではないのか馴染みのないメーカーがズラズラ並んでいたり,TVを例にとっても1メーカー辺り2ケタに届かんとする種類があったりするので,適切なプリセット情報を見つけるのも面倒くさいといえば面倒くさい感じです。

また,CLIEのリモコンソフトと違って,各機器向けの専用Skin(ボタン配置)が用意されているというよりは,ボタンを用途に合わせてある程度自由に配置するタイプなので,お世辞にも洗練された見た目や使い勝手を提供しているとは言い難いものがあります。

TVにしても必要なボタンが数ページに渡って散らばっているため,ページ切り替えを行う必要がでてきたりする辺り,鬱陶しく感じるひとも多そうです。
# しかも,ページ切り替え時に無意味(失礼)にアニメーションをしたりとか(^^;

ただし,ボタンの再配置やリモコンの信号を学習させたりしてある程度細かなカスタマイズができますので,熱意次第で使い勝手を向上させられる点は使い込みがいのあるソフトといえるかもしれません。

iPAQ Image Viewer

iPAQ Image Viewer
iPAQ Image Viewer
最近のビュアソフトの進化にやや取り残された印象がある

スライドショー機能を備えたグラフィックビュア。

JPEG,BMP,PNGなどに対応していますが,せっかくのメーカ製ソフトにも関わらずGIFに対応していない点は非常に物足りなさを感じます。

画面サイズの大きなファイルを展開する際の速度もやや遅め。

また,関連づけ起動を除くとフォルダ単位でのファイルオープンしか行えない点や,サムネイル表示と拡大表示を1画面で(混在して)表示できない点,フルスクリーン時に画面ドラッグで任意方向へのスクロールができない点など使い勝手もいま一つの印象がぬぐえません。
# 特に後者のドラッグによるスクロールは思いの外便利なので,ぜひ実現してほしい機能です。

これまでは「EasyViewer」がバンドルされていたので問題なかったのでしょうが,もうちょっと気合を入れたものを搭載して欲しかったというのが正直なところです。

この辺りj568の添付ソフト「hp Image Viewer」は機能的にも過不足なく,使い勝手も良好だったので後継機にはぜひこちらの系譜を受け継いだ,あるいは参考に改良を加えたものを搭載してきて欲しいところです。

iPAQ Backup

iPAQ Backup
iPAQ Backup
バックアップ項目を細かに設定できるのが嬉しい

多機能かつ使いやすい,非常に優秀なバックアップソフトです。

起動するとPocket PC内部のファイルを全検索し,個々のファイル,(PIMデータを始めとする)各データベース,レジストリとそれぞれの項目を『選択的にバックアップ』することができます。

また,特定の拡張子のファイルをバックアップ対象から除外したり,定時に自動起動してバックアップを行わせるためのスケジューリング機能なども備えています。

バックアップファイルの圧縮や,暗号化の有無を選択できるのも気が利いた仕様といえるでしょう。

ヘタにファイルを満載したCFなどが挿入してあると,起動時に時間がかかることを除けば欠点らしい欠点は見当たりません。
# K.K.さんのところでは,なぜかファイル一覧が正常に取得できずうまくバックアップできないという初期不良が発生したそうですが(^^;

ただし他社のバックアップソフトと違って,バックアップした時点で存在しなかったファイルを自動削除するといった機能は備えていないようです。

iTask

iTask
iPAQ Task
カスタマイズ性が高いのは魅力

COMPAQオリジナルのタスクマネージャ兼ランチャソフトです。
# ってレジストリをみるとOEMっぽい感じですが(笑)

二重起動することでタスクリストがポップアップし,目的のタスクを選択(カーソル移動+Enter)することでタスクの切り替えを,目的のタスクをタップ&ホールドすることでポップアップメニューを呼び出し,「このタスクを閉じる」「すべてのタスクを閉じる」「バックグラウンドのタスクを閉じる」の各動作を指定することができます。
# なぜか本来終了できないはずの「プログラム」や「設定」なんかも終了(リストから除外?)出来たりします。 ActvieSyncのみ例外的に終了できなくなっていますが。

また,タスクリストがポップアップしている状態で左右カーソル移動,あるいはリスト下の3つのアイコンをタップすることで,子メニューをポップアップします。

この子メニューにはアプリケーションや各種設定項目(スタートメニュー→設定),iTaskの独自機能などを自由に割りつけることが出来,上記リスト下のアイコンの絵も選択的に変更することが可能です。
# ただ,ここで割りつけ可能になるアプリケーションをどこから取得しているのかがイマイチよく分からなかったりします。スタートメニュー絡みなのは間違いないと思うのですが,どこかにあるキャッシュを参照しているのか最新の内容が反映されないのが謎です(^^;

画面キャプチャ(遅延タイプのキャプチャも可能)機能を備えているのも,初心者には嬉しいところかもしれません。

比較的使いやすくよいソフトだとは思いますが,いかんせん本機はナビゲーションボタン周りの操作性が最悪なので,スタートメニューと同様の細かいアプリリストがポップアップしてもペンタップ以外(=ボタン操作や指タップ)ではうまく選択できないことが多かったりします。

そういった面では機能的にかぶってはいたものの,H3600シリーズにあった全画面タイプのランチャソフト「Qスタート」が省かれてしまっているのは残念かもしれません。

余談ですが,H3600時代は「全てのタスクを終了」を選択すると各アプリの終了処理をすっ飛ばして無理やり全終了をかけるという恐るべき仕様でしたが,これは改善されている模様です。

Bluetooth Manager

Bluetooth Manager
Bluetooth Manager
カテゴリごとに検出デバイスを管理できる

Bluetoothの設定を行うための専用ソフト。

「全ての機器」「オフィス」といったように,カテゴリ別に設定や検出デバイスを管理することができます。

ただ「送信電力」のように頻繁に切り換えたいと思(いますよね?)う項目も,本ソフトを立ち上げた後,設定を開いてタブを切り換えて〜といった具合に非常に煩雑な操作を必要とする辺りに練り込み不足を感じました。

どうせならこの辺りの設定や,前述のカテゴリ切り換えはタスクトレイアイコンから変更できるようにしてもらいたかったところです。

アセット ビューア

以下のROM内蔵ソフトはスタートメニュー→設定内に存在するコントロールパネルアプレットです。

iPAQユーザにはお馴染みでしょうが,PCでいうところの「システムのプロパティ」や「デバイスマネージャ」に相当するソフトです。

もっとも,項目内容は変更不可で参照専用となっています。

この他にも似たようなものとしては,iPAQの自己診断テストを行うための「セルフ テスト」といったソフトも用意されています。

拡張パック情報

装着中の拡張パック…つまりはジャケットの情報を参照できます。
装着時の合体音の有無はここから設定変更可能です。

PIM情報の固定

起動時にFlashROM領域に連絡先や予定表データを自動バックアップするための機能です。

が,データ量が多いと再起動に時間がかかって困ったことになりますので,余程重要なデータが入っていない限りは前出の「iPAQ Backup」を使ってバックアップをマメにとるのが実用的だと思います。

自動起動

SDやCFカードを挿入した際に,あらかじめ記述しておいた設定ファイルに従って自動起動する機能をON/OFFするためのソフト。
詳細はヘルプ参照のこと

サードパーティ製ソフト

Macromedia Flash Player5 for Pocket PC

ブラウザから呼び出して使うFlashプラグイン。

Ver.5なので再生できないものもあるようですが,それなりに実用的に利用できます。

動作速度や画面の狭さはいかんともしがたいものがありますが,見れるだけでもありがたいので入れておいて損はないかもしれません。

Pocket Watch (The World Clock for Pocket PC)

いわゆる世界時計ですね。
# 個人的に需要がないので使ったことがありません(^^;

Jeode (JAVA VM)

JAVAの実行環境。
# これまた使ったことがありません。
# 当方,Webサイトのブロック崩しくらいしか縁がありませんので(^^;

各論オプション編

過去資産(PCカードジャケットとCFジャケット)の流用を目的にe550GxではなくH3970を選択したはずが,ついついオプション類を買い込んでしまったので,それら購入済みのオプション類についても簡単に触れておきたいと思います。

IPP カバーパック(標準添付/定価:2,800円)

カバーパック
カバーパック
カバーは横開きなのでとり回しにやや難がある
液晶カバー固定部
液晶カバー固定部
カバーは右開きにも変更可能

オプションとはいっても本体添付品です。

CFスロットなどの機能を一切持たない,本体(および拡張パック コネクタ)保護を目的としたジャケットになります。

装着するとほんの少し大柄になり,ボイスレコーダボタンの押しやすさが若干スポイルされますが,ジャケットの切欠き(絞り込み)部分に指が引っかかるため丁度よい滑り止めにもなるので,付けておいて損はないかなというのが私の印象です。

横開きの液晶カバーがついており,固定用のピンを逆側に入れることで開く方向を自由に変更することができます。
# デフォルトは左開き。
# 握った時にヒンジ(というよりはピン固定)部が手のひらにあたってやや鬱陶しい印象はありますが,これは許容範囲でしょう。

カバーはスモークのかかった半透明状で,本体前面の上部の黒いパーツ(スピーカと電源ボタンがついている部分)を除いた液晶とボタン周りを全て保護します。

従ってカバーを閉じている間は電源のON/OFF以外はボイスレコーダボタンしか操作できませんが,液晶表示は十分確認できます。
# この状態でも他のマシンより液晶表示が美しく感じる程です(^^;
# スピーカが塞がって音が小さくなったりしないのも,アラーム用途などには嬉しいところでしょう。

カバー前面部分以外は軟質プラスチックのような感じになっているので,本体の裏側に回したりといったことも柔軟にできますが,やや邪魔な感じですので実際には持ち手の親指と人指し指の間に挟んで持ったりする感じで使うことが多くなるでしょう。
# ただし,こうするとボイスレコーダボタンに指が届かなくなりますけど。

また,この液晶カバーはピンを完全に抜いた状態でも一応取り付けることができる(メーカ保証外なのかな?)ので,取り外し式のカバーとして使うことも可能です。
# 本体を落っことした場合は役にたたなそうですが(^^;

IPP CF拡張パック・プラス(定価:14,800円)

CF拡張パック・プラス バッテリなし
CF拡張パック・プラス
バッテリを外しバッテリカバーを装着したところ
バッテリ無し,横
同側面
バッテリ有り
スリムバッテリ装着時
バッテリは充電ランプ付き
バッテリ有り,横
同側面
写真では分かりづらいですが,ジャケットとバッテリの間に若干の隙間あり

H3800シリーズリリース時に登場した新型のCFジャケットです。

CFスロット部はダミーカードタイプが採用されていて,簡易ながらスライド式のイジェクトスイッチも装備されています。

カバーパックと同様にジャケット中央部分に切欠きが入っており,重量を軽減すると共に握りやすさを向上させています。
# まぁ,本来の意図としては液晶カバー固定用の切欠きなのかもしれませんが。

さらに(これは大抵のジャケットに共通していえることですが)前面にくらべ裏面の面積が小さく(上下からみて断面形状が)アールの付いた台形型である点も握りやすさの理由のひとつでしょう。

また,液晶カバーを装着できる点も同様です。

上記に加えて,裏面下2/3程度には着脱式のバッテリが装備できるようになっており,バッテリが不要な際は付属のカバーと交換することで,スリムジャケットとして有名な「Silver Slider」のような感じで裏面下部を薄型化することができます。
# 手のひらが当たる部分にバッテリ端子があるので,バッテリ非装着時はカバーを付けた方がよさそうです(^^;

ただし,太めのバッテリを固定する関係で,CF格納部終端に厚みがある(終端から上方向に向けて緩くテーパーがかかっている)ので,最厚部では気持ち厚みが増加してしまっています。

バッテリ装着部は添付のIPP スリムバッテリ(920mAH)以外にも,別売りのIPP 大容量バッテリ(1840mAH)が装着可能です。

バッテリ駆動時間の項でも簡単に触れていますが,特筆すべきはこのバッテリの挙動でしょう。

e550Gxをはじめ拡張バッテリが用意されている機種は多いのですが,大抵の機種は「同時に減る」か,さもなくば「残容量が多い方から減る」のが相場ですが,本製品の場合『常に拡張バッテリから減ります』。

したがって拡張バッテリを交換しながら利用しつづけた場合,本体の内蔵バッテリは100%のまま消費されませんので,実質交換可能なバッテリと同様の感覚で利用することができます。

また,オプションに拡張バッテリ用の充電器がラインナップされている点も見逃せないポイントでしょう。

しかしながら,H3900シリーズは内蔵,拡張問わずバッテリ残量が50%を切った時点で警告のバルーンが表示されるため,利用しているアプリケーションによってはかなり鬱陶しいことになってしまうことがある点は残念なところです。
# ものによってはフォーカスが外れると自動終了してしまったり,WMPのようにアプリケーションボタンのハンドリングを失ってしまう(設定ができる)ものがあるので,たとえばWMPで画面消去中にポップアップすると一度電源を切らないと表示が復活できないといったちょっとした面倒事に遭遇する可能性がでてきます。


余談になりますが,バッテリおよび付属のバッテリカバーの梨子地表面処理は非常に傷つきやすいので,傷などに神経質なひとにはつらい仕様かもしれません。
# 私の場合,このカバー側の取り付け基部が非常に華奢かつ付け外しが少々力業なので,どちらかというとこちらの破損の心配の方が気になりますが(苦笑)

また,私の手持ちのCF拡張パック・プラスは既にCOMPAQではなくHPロゴになっています。

IPP カラースタイルパックA(定価:2,400円)

H3600シリーズ用として登場した,機能なしのジャケットのカラーバリエーションです。
# ルビーレッドを装着しても残念ながら3倍速にはなりません(笑)

登場時期が古いため液晶カバーなどは装着できませんし,ジャケットの切欠き部分がないため微妙に握りにくいのが難点です。

が,気軽にカラーリングを変更できるのはちょっと嬉しいですね。
# 叩き売られているなら買う価値があるのではないかなと(^^;

MemPlug Dual-CF Expansion Pack(Vis-a-Visにて7,980円で購入)

Dual-CF Expansion Pack
Dual-CF Expansion Pack
カバーパック添付の液晶カバーを付けてみた
旧CFジャケットとの比較
旧CFジャケット(右)との厚さ比較

その名のとおり,CFスロットを2スロット拡張するためのジャケットです。

上部にTypeIIスロット,左側面にTypeIスロットをそれぞれ1つずつ備えています。

TypeIIスロットは通常通り「メモリ カードx(xは数字)」として認識されますが,TypeIスロットは「Slot2」として認識されるため,通常「メモリ カードx」として利用しているカードをTypeIスロットに入れると,ショートカットや各アプリケーションの設定などで問題がでる点はやや使い勝手が悪いかもしれません。
# 通常TypeIIスロットに通信系を入れ,TypeIスロットにCFを入れるでしょうしね。
# 本ジャケットしか利用しないのであれば(パス名決め打ちのソフト以外は)問題ないのでしょうが。

作りなどはやや安っぽさを感じさせるものの,ジャケット自体の厚みは2スロットにも関わらず旧CFジャケットとほぼ同等とかなり頑張っている印象があります。

また,液晶カバーは標準添付こそされていませんが,カバーパックや拡張パック・プラスのものを装着することが可能です。

本体にメモリカードスロットを持たなかったH3600シリーズとの組み合わせでは絶大な威力を発揮しますが,SDスロット付きの機種の場合本体と合わせて3スロットというインパクトはあるものの,あまりありがたみを感じないオプションかもしれません。
# とはいえGPS用途などには便利かもしれませんねぇ。

製品の作りとは関係ありませんが,異様に頑丈なブリスターパックに入っていて,開けるのにとても難儀したのが印象的な一品です。
# 結局工作用のハサミでバキバキと切断しましたが(^^;

これまた余談ですが,P-in MemoryをTypeIスロットに入れて通信することは可能ですが,リセットしないと上手く認識されずダイアルにいったままハングすることもしばしば…
# スタイル的にランドスケープモードでブラウジングするにはいいかもしれません(笑)

IPP マイクロキーボード(定価:7,800円)

マイクロキーボード
マイクロキーボード
拡大画像あり
スライド機構
写真のようにスライドするため,ジャケットを装着していても利用可能
サイズ比較
サイズ比較
キーボード装着時のj568との比較

本体下部(電源/通信ポート)に取り付けるタイプの親指打ちキーボード。

キーボード裏のパーツがスライドするため,本体単体時はもちろんさまざまなジャケットを装着した状態でも問題なく利用することができます。

固定は電源/通信ポート内部の小さなツメのみですが,上手く本体下部を包み込む形状になっているので,グラ付きなどは感じられず意外としっかりと固定することが可能です。

ただ,イジェクトボタンが下端(本体下面側)についている上押した感触が希薄なため,取り外しはやややりにくい印象があります。

j568の「Pocketキーボード」と比較すると横幅に余裕がある分キーピッチに余裕があり,コントロールキーや4つのアプリケーションボタンを備えているのが利点です。

キータッチはj568に比べて硬質感は欠けますが,それなりにクリック感があるためキーピッチと合わせてなかなか快適に押すことができます。

しかしながら,ただでさえ長いiPAQ本体の下端に接続する上,下方向のマージン(パームレストとはいわないか)がないため,トップヘビーで重量バランスでは劣る面があります。

また,キーが発光するといったギミックがないので,暗所での利用はやや不利といえるでしょう。
# H3970はバックライトが明るいので,これで補うこともある程度可能ですが(笑)

ドライバの出来に関しては正直まだまだの印象があります。
HPのサイトからVersion 2.15をダウンロードして利用しているのですが,ふとした拍子にキー入力がリピートされてしまうことがあり,意味不明の文字列が入力されてしまうことがあるのは正直不便です。
# そんな時はあわてず騒がず,BackSpaceがリピートされたならCtrl+Zを。他の文字ならEscを入力するのが吉(^^;

Fnキーとの組み合わせで,アプリケーションボタンに4種類のアプリケーションを割り当てられるのは便利ですね。

それとこれは当たり前のことなのですが,j568のドライバ(ユーティリティ?)と異なり常駐型のドライバなのでうっかりタスクマネージャなどでドライバを終了してしまうといったトラブルがないのは嬉しいところです。

純粋な文字入力について評価する場合j568側に軍配が上がると思いますが,アプリケーションボタンやCtrlキー関連のショートカットが利用できる点,キーピッチに余裕がある点などは大いに評価できると思います。
# j568の場合「JKX」で補うことは出来ますが,電源投入後の反応などで一歩劣る面がありますので。 <JKXのランチャ機能
# とはいっても,本キーボードのアプリケーションボタンも電源投入直後だと反応しないので,一瞬待つ必要がありますが。
# 個人的にはj568と違って,電源ボタンが覆われてしまわないのが助かります。

一刻も早くキーリピート問題が解決されることを望みたいものですね。
# 掲示板にてH3600シリーズから引きずっている問題だという情報をいただきました。…ということは解決は遠そうですねぇ(苦笑)

ま,最終的には,本体に常時キーボードを付けておきたいひとならj568が,必要な時だけ装着すればいいというひとは本キーボードをというチョイスになるのではないかと。

なおiPAQには本キーボード以外にも,折り畳み型の「IPP ホルダーキーボード」もラインナップされています。

総括

以上駆け足で(常套句)H3970の特徴をみてきたわけですが,本機は美しい液晶画面や優れたバッテリ性能。ジャケットシステムによる高い拡張性など優れた特徴を備えたマシンということができると思います。
# (実際やるかどうかはともかく(^^;)できることの幅や,オプション選びの楽しさといった一種のワクワク感もPocket PC中では随一といえるかも。

反面,CFスロットをジャケットに頼らなければならないといった日本市場にマッチしない点や,ボタン周りの操作性がいま一つといった残念な点もいくつか抱えてしまっています。

これらの長所と短所を秤にかけて,どちらが勝るかはひとによって,運用形態によってさまざまでしょう。

ただ,残念なことに本機の長所が「美しい液晶」という視覚に訴えるもの(衝動買いパターンに持ち込みやすい製品)であるにも関わらず,HPとCOMPAQの合併による混乱なのか法人市場にフォーカスを移したのか分かりませんが『店頭で実機を見ることができない』というある意味悲劇的なことになってしまっているのは何とも残念な限りです。

本インプレ執筆中に1/20〜2/28日の期間限定で『「hpスペシャル・ソフトウェアCDプレゼント」キャンペーン』という強力なてこ入れ策が打ち出されたわけですが,こうしたWeb直販ルートだけ(販売店ルートでは本CDはもらえないらしい)でキャンペーンを行うのではなく,せめてヨドバシやビックカメラといった大規模量販店で少しでも多くのひとが実機に触れる機会を設ける努力をするべきだと思います。

無論,上記キャンペーンCDに含まれる「Decuma Japanese」はキラーアプリとしての魅力を持ったソフトであることは間違いないところですが,このままではマニア受けしてお終いのような気がします。
# 「Decuma Japanese」に関しては当サイトのインプレ記事をぜひご覧くださいませ(^^;

まぁ,もともと国内PDAの個人向け市場なんてのは=マニア向け市場に過ぎないという意見もあるかもしれませんが,それは老舗メーカーの一角としてあまりに志の低い了見だと思うのですがいかがなものでしょうか。

特にH3950は49,800円という「iPAQは高い」という既存イメージを破壊できる戦略的な価格付けをしたわけですし,もっと積極的に攻勢にでてもらいたいものです。
# 反面,FlashROM+16MBとBluetooth搭載で64,800円というのは価格差としてかなり微妙なものを感じますが(苦笑)
# Bluetoothの普及状況をみてもここはお買い得なH3950を選択して,余ったお金でCF拡張パック・プラスを購入するのが吉かなぁとか。

ただの愚痴になってしまったので,最後にj568ユーザとしての感想と今後のiPAQの展望(願望含む)を述べて本記事を締めくくりたいと思います。

j568と比較すると美しい液晶画面やお手軽かつ強力な拡張性(j568はバッテリを交換しないとPCカードユニットが装着できませんからね)などスペック的に優れた点が多く存在する反面,ボタン周りの使い勝手やROM搭載アプリの使い勝手,交換不可能なバッテリなど直接スペックに現れない箇所では大きく劣っている部分も多々散見されます。
# j568の記事ではないので本文中では触れていませんが,フロントライト輝度やボリュームのプロファイルをあらかじめ設定して手早く切り換えたり,画面オフ専用のボタンを備えており,さらにタイムアウトで自動的に画面をオフにできるといった他機種にはない長所が結構あったりします(^^;

H3900シリーズはCOMPAQが単独で設計した最後のiPAQともいえる製品です。

今後はHP。すなわちjornada系の長所を多く取り込んで進化していくことが期待されるわけですが,海外で発表済みの製品(h1910やh5450)では既にその端緒が現れつつあります。

たとえばh1910では小型で握り安そうなボディやボタン配置,h5450ではボイスレコーダボタンの機能追加(3ボタン化)やナビゲーションボタンの位置変更(上部に移動)などを挙げることができるでしょう。

そして両者ともに交換式のバッテリを採用(ただし容量は減ってますが)した点も見逃せません。

海外での高評価に比して国内市場ではいまひとつ地味な印象がぬぐえないiPAQシリーズですが,今後はこうしたハードウェア面の改良に加えてソフトウェア面でも統合も進め,国内トップの東芝を刺激してくれる存在となってくれることを切に願いたいものです。

蛇足

hp jornada 568ユーザにとってiPAQは後継足り得るかの結論ですか?
本記事は冒頭に書いた通り「判断材料を提供する」のが目的ですから,各自で判断してくださいませ(笑)