CASSIOPEIA E-3000 ファーストインプレッション

購入を見送るハズが店頭で一目惚れし,勢いで購入してしまったCASIO期待の新機種「CASSIOPEIA E-3000」(以降E-3000)。
このページでは,私がE-3000を短期間利用して感じた印象を主軸に,E-3000の長所短所をハードウェア面を中心に紹介していきます。
# 今回は最後に摘要(サマリー)を用意しましたので,長文が嫌いな方はそこだけ読んでください(笑)

如何せん利用期間が3日間とまだ短いため,動作速度や本体の安定性,バッテリ駆動時間などまだまだ情報収集不足の面もあるかとは思いますが,掲載情報の訂正や補足が必要になった場合は適宜追記していく予定です。
# 追記箇所はこんな感じにINS要素でマークアップしていきますので,再読時の目安にしてください。

カタログスペックなどが気になるという方は,以下のリンクを参考にどうぞ。

(記事公開日:2003/04/03)

参考リンク


はじめに


E-3000,hp jornada568サイズ比較
正面
j568の液晶が見にくいのは,透明度の低い液晶保護シートが貼ってあるせいです
もっともE-3000の方にも同じものが貼ってあるんですけどね(^^;

CASSIOPEIA E-3000,hp jornada568サイズ比較
左側面

最近ではPocket PCといえば海外ならHPのiPAQシリーズ,国内であれば東芝のGENIO eシリーズあたりを思い浮かべるひとが大半ではないでしょうか。

が,キーボードレスのWindows CE(以下WinCE)搭載PDAがPalm-size PC(以下Ps/PC)を名乗っていた頃からのオールドユーザな私にとっては,カシオのCASSIOPEIAシリーズこそがPocket PCの代名詞…だと『いってあげたい』程度にはなじみ深くも思い入れのあるシリーズだったりします。

E-55を皮切りにE-500,E-700,E-750と購入してきたわけですが,前モデルのE-2000は筐体サイズのわりに液晶サイズが3.5inchと小さく,断面形状からくる握りにくさや本体内蔵スピーカの品質の低さ,カーソルボタンの特殊な仕様などがネックとなって購入を見送ってしまっていました。

内心今度こそはという思いがあったものの,昨年末にiPAQ Pocket PC H3970(以下H3970)を購入したばかりの私としては,本体サイズと液晶サイズを理由に今回も購入を見送らざるを得ないという結論に達し…

たハズだったのですが,店頭で実機をみてその(良くも悪くも)『CASSIOPEIAらしい作り』に惚れて,翌日にはH3970を手放してE-3000を購入していました。
# もっともASUSブランドで「MyPal A710」というE-3000とうりふたつなマシンが発表になっていますので,OEM品である可能性は高そうです。少なくとも生産はASUSでしょうね。MADE IN TAIWANですし。
# 設計段階から丸投げだったとは思いたくないところですが,実際のところはどうなんでしょうかねぇ(^^;

それから数日間本機を利用しているわけですが,万人におすすめできるマシンとはいえないものの,現在もっとも完成度の高いPocket PCであることは間違いないと感じています。

本ページではそんな本機の魅力と問題点を,筆のおもむくままに書き綴っていきたいと考えています。

筐体サイズ,重量


E-3000,hp jornada568サイズ比較
下面
断面形状に注目
右側の2つの穴はマイクです

CASSIOPEIA E-3000,hp jornada568サイズ比較
右側面

前機種E-2000と比較してやや小さくなっていますが,それ以上に縦方向に長くなっておりPocket PC 2002搭載機の中では最大クラスです。
# それでもZAURUS MI-E21などよりは短いのですが。

H3800/H3900シリーズとほぼ同じ長さです。 <E-3000

横幅と厚みに関してはYシャツの胸ポケットにも問題なく入るサイズですが,縦に長いため,ポケットの蓋は基本的に閉じられないと思った方がよいでしょう。
# 実際にはものによるのですけれど。

角張った断面形状のため握った時に数値以上の大きさを感じさせたE-2000と違い,断面形状が台形(厳密には異なりますが…写真参照)になっているため,実数値(横幅は3mmの縮小)以上に小さく握りやすく感じられます。

また,握った際に違和感を与えるような出っ張りやくぼみがないので,長時間利用しても手が痛くなったりしないのはありがたいところです。

さすがに縦に長い分,本体前面下の5wayカーソルボタンを使って操作した場合,トップヘビー気味に感じますが,本体左サイドにUP/DOWNボタンが用意されていたり,ストラップ取り付け穴が用意されているので特に問題とはならないでしょう。

重量に関しては約190gと軽量とはいえませんが,iPAQ本体並の重量で2スロット(+長時間駆動)を実現していますので,まずは及第点といったところではないでしょうか。

なお,筐体自体の作りに関しては,プラッチッキーな質感は好みの分かれるところでしょうが,パーツの合いなど精度に問題を感じるような箇所は特にありませんでした。
# 個人的には,CLIEのまがいものみたいなデザインだとちょっとだけ思いましたが(^^;

サイズ/重量比較

動作速度


CPUスピード設定
クロック設定は3段階
自動パワーセーブモード設定可能

本機には期待の新CPU,PXA250 C1 steppings改め「PXA255」の400MHzが搭載されています。

従来のPXA250と比較して内部バス速度が2倍となり,動作電圧のさらなる低減とバグフィックスが施されたことが主な変更点だそうです。

StrongARMからXScaleにCPUが変更になった際に思ったほどパフォーマンスが向上しなかったのは,Pocket PC 2002がXScale向けに最適化されていなかったことに加え,キャッシュ回りの不具合によってwrite-backキャッシュが無効化されていたことが原因だと噂されていましたから,その問題の1つが取り除かれたことになるわけでパフォーマンスの向上に期待がかかるところです。

で,結論からいえば,確かに早くなっています。

前モデルであるPXA250もベンチマーク結果はStrongARMよりも優秀な結果を出していたのですが,体感速度的には「早くなったかも?」といったレベル止まりで,さらに動画再生や一部のゲームなどでは明らかにパフォーマンスが低下していたのですが,PXA255(というかE-3000)では,ほぼ全てのシチュエーションで体感速度が向上していることがわかるようになりました。

以下は全てCPUスピード 高速,自動パワーセーブ有効時の結果です。

私の利用環境では,「Pocket WZ MAIL」の起動や「AgendaFusion」のOptions画面表示,設定→接続タブ→接続の終了速度などPXA250ではややストレスを感じていた部分がStrongARM(hp jronada 568)並か気持ち早い程度に改善されているようです。

全体的には少しずつしかし確実に早くなっているといった印象で,普段Pocket PCを使い慣れているひとなら「なんだか快適になったな」と感じられるくらいの動作速度向上が全体的にあるといってよいと思います。

試しに「Nyditot Virtual Display」を入れてみたところ,VGA程度なら仮想画面,縮小画面ともQVGAとほぼ同等の感覚で快適に利用できました。
# 画面の縦横比を維持した場合,SVGAの縮小画面辺りからレスポンスがちょっと鈍ってくる感じでしょうか。
# もっともこの辺りになってくると,文字が小さ過ぎて読めなくなることの方が問題という話もありますが(笑)

動画再生に関しては「Windows Mediaエンコーダ 9 シリーズ」を使って,Pocket PC向けプロファイルを利用して変換する際にエンコードオプションで「Pocket PC ワイドスクリーン ビデオ」を選択して作成したものをフル画面再生すると,PXA250では動きの少なめなソース※を使ってもアウトだったのが,まともに再生できるようになりました。
# StrongARM比だとPXA255がやや優秀な程度でしょうか。
※ たとえば新海誠氏の新作「雲のむこう、約束の場所」のパイロット映像など。

DivXについてはソースの変換(というか再生)が上手くできず検証できなかったので,「PocketMVP」を使ってBALDR FORCE(美少女ゲーム)のサイトから落とせるデモムービー(b4-demo_hp.mpg)を無変換(320*240 30fps Video1150kbps Audio192kbps 44100Hz)でそのままフル画面再生してみたところ,PXA255ではDropped:1956/Played:4513/Total:4638/Avg FPS:17.00で,StrongARMではDropped:3763/Played:4512/Total:4638/Avg FPS:4.99でそれぞれ再生できました。
# オプションは「Show dropped frame」のみチェック。SanDisk 256MB CF使用。再生中気になるブロックノイズなどは特になし。

掲示板にてQtaさんが同条件のテスト結果を報告してくださったので,転記させていただきます。

E-3000 高速、省電力
Dropped:1351/Played:4512/Total:4638/Avg FPS:21.02

GENIOe550G 400MHz固定
Dropped:3012/Played:4512/Total:4638/Avg FPS:9.98

DivXでの再生テストをしてみました。
今回はmicrodrive(1GB)の利用を前提に少しでも再生品質を上げるために,PocketMVPの設定は「Show dropped frame」に加えて「No AVI Index」と「Enable Cache」(最大の12MBを指定)をONにしています。

上記MPEG-1のテストと同じソース(b4-demo_hp.mpg)をDivX 5.0.3(とMPG2AVI,GOGO.DLLの組み合わせ)で映像320*240/500kbps/30fps,音声22kHz stereo 64kbps(FileSize 11.0MB)にエンコードした場合…

E-3000ではDropped:100/Played:4620/Total:4620/Avg FPS:29.35。
j568ではDropped:3310/Played:4620/Total:4620/Avg FPS:8.51。
という結果になりました。

その後も色々と試してみましたが,オンメモリ(キャッシュにムービー全体が納まるサイズ)でない場合,利用するメディアの転送速度にもろに足を引っ張られるようです。

私の手持ちメディアは1GBのmicrodriveにSanDisk製CF,SDと低速なものばかりでまったくお話にならないので,残念ながら動画再生に関する実験はこれで打ち切りとします。
# キャッシュなしでオンメモリ再生するためにAVIファイルを本体RAMに入れた場合でも上記映像ソースでは500kbps(条件は同上)がフルレート再生の限界で,microdriveを利用した場合キャッシュサイズを超えてしまうと『200kbpsでもダメだった』とだけ書いておきましょう(^^;
# オンメモリの場合,動きのおとなしいソースなら800kbpsでもOKでしたが。

以上の結果から,動画再生性能は明らかに向上しているといってよいのではないでしょうか。

ゲームに関しては「PalmGB」「えここdeふぁいと!」「なにクラ体験版」などで比較してみましたが,PXA250よりは大幅に速度が向上しており,えここ〜は50〜60fpsでるようになりました。
# えここ〜はhp jornada 568(以下j568)では60fps安定,H3970では30〜50fps前後。

ただし,特定の画面描写が苦手なのかゲーム中フレームレートが安定せず,動きがぎくしゃくすることがあるようです。
# 具体的にはぺんぎんさんを飛ばしまくると(ボタン連打)フレームレートがガタ落ちになります(T_T)

例によってベンチマーク結果が気になる方は,BMQのページを参考にどうぞ。
MONO-Q Branch → benchmark

3.5inch半透過型TFTカラー液晶(QVGA),タッチパネル精度


明るさ
(バックライト輝度設定)

LEDバックライトを利用した半透過型TFTカラー液晶の搭載も,本機の大きな特徴のひとつでしょう。

ただ,大柄な筐体サイズにも関わらず3.8inchではなく,3.5inchと小型の液晶を採用している点は非常に残念なところです。
# 個人的にはQVGAのPDAには,3.8inch液晶が(見やすさと携帯性で)ベストバランスだと思っています。

液晶周囲にアクリル製(?)の透明パーツを配することで,(液晶保護が主目的でしょうけれど)デザイン的に狭く感じさせないよう工夫をしているのですが,やはり実サイズが小さいのはいかんともしがたいものがありますね。
# 件の透明パーツには薄い保護フィルムが貼ってあるのですが,これをとってしまうとペイント処理っぽいロゴが剥げやすくなっちゃいそうで,はがす勇気がでません(^^;

次に半透過型液晶のみえ方についてですが,直射日光下では反射型液晶にやや劣る印象がありますが十分実用的に利用できますし,室内での画面の鮮やかさについては本機の圧勝といって差し支えないでしょう。
前機種E-2000の反射型液晶も反射型としてはかなり発色が優秀な部類に入るのですが,それと比較してもより鮮やかな表示になっていると思います。

発色に関してはやや青みがかっており,同じく半透過型液晶を搭載したiPAQ H3900シリーズと比較して暖色系…たとえば肌色などの鮮やかさにやや欠ける印象がありますが,好みの範疇に納まっていると感じました。
# 透過型液晶のE-750あたりと比べてしまうと,少し不満が残るレベルといった感じです。

フロントライトと違って,光にムラや影がないのも嬉しいポイントといえるでしょう。
視野角に関しても優秀な部類に入ると思います。

液晶パネル表面のフィルムに光沢があるため,やや映り込みする点は気になるひともいるかもしれません。
# 適当な液晶保護フィルムを貼れば解決する問題ではありますが。

またバックライト輝度は(最大輝度は)H3900シリーズにこそ一歩劣るものの,十二分な光量を確保しています。

本機はCASSIOPEIAの(悪しき?)伝統に則って5段階でバックライト輝度を調整できるようになっていますが,2段階目(1段階目は消灯)でも反射型液晶の最大輝度程度の明るさは確保できますので,調整する機会は少なそうです。
具体的な調整方法ですが,これまたCASSIOPEIAの伝統どおり設定→バックライトからは「バックライトを消すまでのアイドル時間」などしか設定できず,輝度調節は別途「明るさ」からおこなうようになっています。
# ユーザの利便性を考えれば,他メーカのように1つにまとめた方が便利だと思うのですけどね(^^;

ただしいちいち設定メニューをたどらなくても,アクションボタンを押しながらカーソルボタンの左右を使って簡単に調節できるのは(同じくCASSIOPEIAの伝統ですが)嬉しいところです。

なお,光センサによる自動調光のような気の利いた機能はついていません。
# 個人的にはボタンで輝度変更できるので十分というか,こちらの方がありがたいくらいですが(笑)

タッチパネルの精度に関しては,従来のCASSIOPEIAシリーズでは絵などを描いているとたまに線が飛ぶことがあったのですが,E-3000では(今のところ)影を潜めている印象があります。
感度に関しては本機も十分優秀なものの,H3900シリーズのそれにはやや劣る印象を受けました。

初期不良交換後(後述)の個体では,頻繁に飛びが発生するようです。
# 1台目がたまたま当たりだったのか,2台目がハズレなのか…どっちでしょうね(^^;

サポートに問い合わせたところ,機種固有の問題であることを認識したとのことです。早期のパッチ提供に期待したいところですが,購入の際には実機を納得がいくまで操作してみることをおすすめします。

E-3000 Update File ver 1.00」にて対策されました。CASIOの迅速かつ真摯な対応に感謝m(__)m

ちなみに(液晶)フリップカバーはありません。

バッテリ駆動時間,CPUスピード設定,バックアップ電池


バックアップ電池スイッチ
購入後まずこのスイッチをONにします

充電池ロックスイッチ
バッテリ交換時にはこのスイッチをスタイラスで操作します
ここがLOCK側になっていないと本体の電源が入りません

E-3000の最大のウリともいうべきポイントが公称約18時間(大容量充電池なら36時間)を数えるバッテリ駆動時間と,交換可能なバッテリでしょう。

まだ短期間しか利用していないためコメントが難しいのですが,ほぼ下馬評通りの性能といってよいと思います。

バッテリメータは10%刻みで,CPU速度は設定→「CPUスピード設定」から,高速/通常/低消費電力の3段階に調節でき,さらにデフォルトで「自動パワーセーブモード」がオンになっています。

高速&自動パワーセーブモードをオンにした状態でバッテリメータの減りを観察している限りでは,バックライトを付けっぱなし(2段階目)にしてデータ閲覧の合間に通信や音楽,動画再生などをちょっと楽しむ程度であれば,連続で10時間12時間?程度は動作してくれそうな感じです。

ただ,バッテリ警告がH3900シリーズ同様50%から表示されてしまうのはちょっと鬱陶しいかもしれません。
# 私は速攻で[HKEY_Current_User\ControlPanel\Notifications\{A877D663-239C-47a7-9304-0D347F580408}]のOptionを0にして,警告を切ってしまいましたが(^^;

余談になりますが,バッテリ残量が低下した状態で電力消費の激しいカード(microdriveや通信カードなど)を利用しようとすると,電源が勝手に落ちて(サスペンドして)しまうことがありました。
# ユーザーズガイドにも『モデム/LAN/通信カードなどをご利用になる際は、充電池の残り電池容量が十分ある状態で本機をご使用ください。通信中に電池容量がなくなると通信が不安定になったり、使用中のデータが消えたり、電源が切れることがあります。』と書いてありますが(^^;

私が試した感じでは(個体差かもしれませんが)30%以下でまれに,10%以下ではわりと頻繁に発生するようです。
せっかく交換可能なバッテリを採用しているわけですから,この辺りになったらさっさとバッテリを交換してしまうのが吉かもしれません。

上記症状ですが,バッテリ残り残量と関係なく頻発することが判明したため初期不良交換していただきました。
# 具体的にはバッテリ残量やカードの種類問わず操作中頻繁に電源が落ちたり,バッテリ残量表示が不安定になったりといった具合(苦笑)
交換後は(まだ)同様の症状は再現していませんので,純粋に初期不良だった可能性が高そうです。
経過確認後再度追記する予定です。

たまに勘違いしている方がいらっしゃるようですので一応書いておきますが,本機の大容量充電池は(j568と同様に)標準添付の標準充電池と交換する形になっていますので,大容量充電池を1個買えば標準充電池とローテーションして使うことができます。

また,最初から充電器がラインナップされている(ただしACアダプタ別売り)のはポイントといえるでしょう。
# もっとも,どちらも本体出荷日の段階では出荷されていませんでしたが(苦笑)

本体添付の標準充電池でも驚くほどバッテリの持ちがよいため,大容量充電池や充電器を買うひとが少なそうだとか思わずいらぬ心配をしてしまいます。
# 今後のためにも御布施気分で買っとく(買い支えしておく)といいかも(笑)

バッテリ交換時のRAMデータ保持ですが,内蔵された充電式のニッケル水素電池を利用して最大30分間保持してくれることになっています。
# このバッテリが交換不能なのがちょっと心配ではありますが,本体充電池よりは消耗しないと思い(たい…)ますし,最悪へたってきたらAC電源を接続した状態でバッテリを交換するのもありかもしれませんねぇ(^^;

これに伴って,バッテリの下(取り外した箇所)にディップスイッチ状の「バックアップ電池スイッチ」が新たに設けられました。

iPAQ H3600シリーズなどと同様に,購入後の利用開始時や長期保存時などにON/OFFしたり,フルリセットでも動作が正常に戻らない場合の最終初期化手段として利用することになります。

メモリカードスロット関連


本体上面カードスロット周り
CFスロットにはイジェクトボタンが装備され,ノートPCのような外観に
イジェクトボタンがやや偏心しているのがチープな感じです(^^;

SDカードスロットとCFカードスロット(TypeII対応)の2スロットを搭載しています。

両スロットともダミーカードが採用されており,シャッタータイプではない点はライバル機に対して一歩遅れをとっていますが,通常メモリカードなどを挿しっぱなしにしておくひとが大半でしょうから,いうほど問題はないのかもしれません。

その代わりというわけでもありませんが,CFカードスロットにはイジェクトポタンがついています。
イジェクトボタンの機構は一部のノートPCで採用されているような,引っ込んでいるスイッチを軽く押し込むことでポップアップさせ,再度押し込んでイジェクトするタイプです。

機構的にイジェクト時に不要な力を加える必要がないので,PocketGearやiPAQのCF拡張パック・プラスなどについているスライド式のイジェクトスイッチよりも扱いやすいと感じました。
# ただ,ボタン自体が小さくてしかも周囲より凹んでいるので,指が太くて不器用なひとは最初に押し込む時にスタイラスなどを使う必要があるかも?

SDカードスロットはSDメモリカードとMMCのみの対応となっており,SDIOには対応していません。
もっともH3600シリーズなどは対応を謳いつつも実際にはドライバが用意されておらず絵に描いた餅状態ですし,SDIOに対応した実用的なデバイスが「AH-S101S」くらいしか見あたらない現状としては,コスト的にこうした割り切りも有効なのかもしれませんね。
# ってPXA255はSDIO対応のコントローラを内蔵しているという話をどこかで読んだような気もするのですが…記憶違いかしらん(^^;それともドライバ開発費用とかサポートコストとかが問題なのかな?

なおSDIOを採用しているGENIO e550シリーズはSDスロットがUSB接続されているらしく,電源投入後の認識が遅いため,これが原因で読み込みエラーが発生するケースもあるそうですが,本機は特にそういったことはないようです。
# アラーム系のソフトでWAVファイルをSDにおいた場合とか。Qtaさんが嘆かれてました(^^;

ちなみに各スロットはそれぞれ「SDカード」「CFカード」(実際には半角カタカナ)としてルートフォルダにマウントされますので,SDとCFが電源オンの拍子に入れ代わってしまったといったトラブルの心配がない点はありがたいところでしょう。
# まれに存在する,フォルダ名決め打ちのソフトなどを利用する時には困りそうですけどね(^^;

また後述しますが,SDスロットとCFスロット兼用のアクセスランプが付いている点も安全性と精神安定上の配慮としては嬉しいポイントといえそうです。

メモリ関連

メモリ周りはフラッシュROM32MB,RAM64MBと標準的な構成になっています。
# 従来通りNOR型のフラッシュROMのようで,海外で登場しているNAND型を利用した廉価機のようにRAM側のユーザ領域がOSに消費される(厳密にはOSの予約領域の分ユーザ領域が減る)といった心配はありません。

最近では「NetFront v3.0 fro Pocket PC」や「ATOK for Pocket PC」のように本体RAMを大量に消費するソフトも増えつつありますから,RAMもGENIO eシリーズのように128MBあるにこしたことはないと思いますが,通常利用であれば64MBでも特に問題はなさそうです。
# 大抵のソフトはSDやCF上に逃がせますからねぇ。

個人的にはフラッシュROMが32MBではPocket PC 2003が登場したら,容量が足りないのではないかという気もしないでもないのですが,そもそもバージョンアップサービス自体期待できるかどうか怪しいところでしょうから心配するだけ無駄かもしれませんね。

なおj568やiPAQのように,フラッシュROMをユーザ領域として利用できるといったフィーチャーも特にないです。
メモリ回りの使用に関しては,(いかにもCASSIOPEIAらしく)保守的な作りといえるかもしれません。

UP/DOWNボタン,アクションボタン


UP/DOWNボタン周辺
左からアクションボタン,UPボタン,DOWNボタン,リセットボタン(穴)

E-55から一貫して本体左サイドに装備され,一部の層から大きな支持を受けていた偽ジョグダイアルこと「アクションコントロール」がなくなってしまいました。
これに代わって搭載されたのが,UP/DOWNボタン(上下カーソル相当/スクロール動作など)とアクションボタン(Enter相当/決定動作)の3つのボタンです。

従来アクションコントロールが付いていた箇所に3つのボタンが配置されており,上からアクションボタン,UPボタン,DOWNボタンという内訳になっています。

アクションコントロールに代わっての搭載ということでネガティブな目でみられがちなこれらのボタンですが,タッチは非常に軽いにも関わらず最低限のクリック感はあるため,操作性自体は悪くありません。

他機種(j568とかiPAQなど)のボタンのように,長時間ドキュメント閲覧に使っていたら指が痛くなってしまったという心配はあまり必要なさそうです。

ただ,大抵一方向を連続で押すことが多い上,隣接しているために指の運動量が少なくて済むUP/DOWNはともかく,決定動作をつかさどるアクションボタンを押すためにはその度に本体の握り位置を調整する必要がでてきますので,手軽さという点ではやはりマイナスといえそうです。

ライバルのGENIO e550Cがアクションコントロールライクなスクロールボタンを搭載してきたことを考えると,残念な仕様変更といえるでしょう。

5wayカーソルボタン


5wayカーソルボタン周辺
アクションボタン(決定)兼用のため操作性にやや難アリでしょうか

iPAQ H3600以来なぜか採用機が多い,上下左右のカーソルボタンに中央を垂直に押し込むことでアクションボタン(Enter)の機能を持たせたボタンがついにCASSIOPEIAシリーズにも採用されてしまいました。

この手のボタンはカーソルボタンを押したつもりが,決定(Enter)動作になってしまって困るということでユーザにはわりと不評な印象があるのですが,搭載機が一向に減らないということは特に痛痒を感じていないひとの方が多いということなのでしょうか。

今どき携帯電話やデジカメ(たとえばCASIOの「EXILIM ZOOM」とか…)でも,カーソルボタンの中央に決定ボタンを『別に』配置したものが珍しくないご時世だけに,正直なんで?と首を傾げたくなってしまいます。

肝心のボタンの操作性ですがそれなりの大きさがあるため,GENIO eシリーズやH3800/H3900シリーズのそれよりは随分とマシに感じられますね。

H3600シリーズと同等といったところでしょうか。
私のマシンは個体差か,上カーソルボタンが決定動作に化ける頻度が(結構)高いように思います。

バッテリ駆動時間の項で触れているとおり,初期不良交換により別マシンを入手しました。
こちらではカーソル操作が決定動作に化けることは,ほとんどありません。
これならカーソルボタンとアクションボタンが兼用でも,実用上まったく問題ありませんね。
がこうなってくると,個体差によって品質にどの程度ばらつきがあるのかが気になるところではあります。

なお,ゲームユーザが気になるボタンの斜め押し&同時押しですが,どちらも特に問題なく操作できるようです。
一端カーソルをニュートラルに戻さないと入力を受け付けなかった,E-2000のような特殊な癖もありません。

ただし,プログラムボタンと5wayカーソルの位置関係は決してゲーム向きとはいえませんので注意が必要でしょう。
# まぁ,使えないというほどでもありませんけどね(^^;

プログラムボタン


ボタン起動設定
ここのチェックを外すことで,ボタンが押されて勝手に電源が入ってしまうのを抑制できます

5wayカーソルボタンの上に4つと,左右に1つずつの計6個のプログラムボタンが装備されています。

ただ,残念なことに本体左サイドのUP/DOWNボタン(旧アクションコントロール)直下のボスイレコーダボタンがなくなってしまったため,ここにスタートメニューやランチャを割りつけて片手で操作するといった使い方はできなくなってしまいました。
# ストラップが付けられるのでボイスレコーダボタンがなくても,安心して(5wayカーソルボタンなども)片手操作できるという話もありますけどね(^^;
# 私の場合UP/DOWNボタンに親指を置いた状態で,一番右のプログラムボタンに小指が届きますし。

ちなみに,CASSIOPEIAではアクションボタンを押しながらプログラムボタンを押し込む動作にもプログラムを割り当てることができたのですが,今回はそういったフィーチャーはなくなってしまっています。
j568のような長押しにも対応していなません。

ボタン数が多いとはいえ,この点は残念といえるでしょう。
# もっとも,「VITO ButtonMapper」が問題なく動作したので,私はこれを使って長押しにもソフトを割りつけているため実際には全く痛痒は感じていないのですけれど(笑)

また,新たに設置された2つのボタンは周囲が窪んでいるといった誤動作防止措置がとられていないため,ポケットの中などで押されて電源が入ってしまいやすい点は問題があるかもしれません。
本機の場合バッテリの持ちがよいので,設定→「パワーマネジメント」で「電源を切るまでのアイドル時間」を設定しておけば致命的なことにはならないとは思いますが,どうしても気になるひとは設定→「ボタン起動設定」で,プログラムボタンを押しても電源が入らない設定にしてしまうとよいでしょう。

なお,ボタンの押し心地などは全く問題ありません。

電源ボタン


電源ボタン周辺
電源ボタンはアラーム動作時にこのように赤く点滅します
ストラップ取付け穴とスタイラスホルダにも注目

CASSIOPEIA伝統の本体左サイドから,本体正面右上に変更になりました。
アクションコントロールとアクションコントロール横のボイスレコーダボタンが廃止になった今となっては,スタイラス取り出し時に押しやすいこの位置に変更になったのはかえって良いことかもしれません。

本ボタンは乳白色の半透明パーツになっており,アラームインジケータとしての機能もそなえていて,設定時刻になると赤く点滅します。

ボタン自体は特に凹んでいるということはないのですが,設置場所や形状からみて鞄の中などで不用意に押されてしまう心配は少なそうです。

なお,電源ボタンを長押しすることでバックライトを消灯できますが,バックライトの設定で「ボタンを押したときまたは画面をタップしたときにバックライトをつける」がオンになっていると,画面をタップしただけで点灯してしまうというイマイチ実用的でない仕様になっていますので,前述のアクションボタン+カーソル左右の輝度調節機能を利用してバックライトを消した方が実用的でしょう。

スタイラス


スタイラス比較
上からE-3000,CLIE Nシリーズ,CASSIOPEIA Aシリーズ
E-3000のものが一番細くて短いです…

個人的にはE-3000の最悪の改悪点がここだと思っているのですが…
スタイラスが細くて短いものに変更になってしまいました。
# 本体サイド右下にUSBポートとACアダプタジャックを設けている関係でスペースがとれなかったのでしょうね。

スタイラスというものは使い勝手の観点からみれば,ある程度以上の長さ,太さ,剛性が必要不可欠です。
この辺りに無理な犠牲を払っていなかった点がCASSIOPEIAシリーズの美点のひとつ(質実剛健さ)だと私は思っていたのですが,本機ではCLIEシリーズのスタイラスかと錯覚するような細くて短いスタイラスに変更になってしまいました。
# 軸部分が金属製なのでさらに似てみえるわけですが(^^;

また,スタイラスの取り付け位置や方法などは従来同様,単純に差し込む形になっており,取り出し機構といった不要なギミックは装備されていない…のは問題ないのですが,差し込み具合が固くしかも取り出し時に指にひっかけられる突起が小さいため取り出しにくくなっています。

CLIEシリーズのようにスタイラスが抜けやすくて紛失しやすいというのも困りものですが,固すぎるのもまた困りものです。
次機種での改善を望みたいところです。

ヘッドフォンジャック

ヘッドフォンジャックが,E-700シリーズと同様の本体上部左に再度移動になりました。
ただし,従来オプションで用意されていた「リモコン付きイヤフォン」はジャック自体が3端子タイプに変更になってしまっているため利用できません。

大して使いやすいわけでも音質がよいわけでもないリモコン付きイヤフォンではありましたが,品質を改善するのではなく使えなくしてしまった辺りはE-2000のCFカメラカード未対応の時の再現といった感じでとても残念です。

ヘッドフォン出力時の音質自体はPDAの標準的なレベルで,良くも悪くもない必要十分な品質といった感じでしょうか。

E-2000では曲間(厳密には音声発声時)のノイズが全く入らなかったのですが,E-3000では少しだけ入るようになってしまいました。
# とはいってもPocket PCとしては十分優秀で,あまり気にならないレベルです。
# 少なくともj568などと比べると,ノイズレベルはずっと低く抑えられています(^^;

スピーカ&マイク


液晶上部
マイク(orスピーカ)っぽい穴が空いていますが,マイクではない模様
インジケータは左から,電源ランプ,SD/CFアクセスランプになります

本体前面左下にスピーカ,下面右側にマイクが搭載されています。

これとは別に液晶上端になにやらそれっぽいスリットがついていますが,マイクというわけではなさそうです。
ASUSブランドでGSM対応モデルか何かを出す際の布石でしょうかね?
# この位置にマイクがあれば,本体を上下ひっくり返せば音声通話に利用できそう。

iPAQのようなマイクのオートゲイン(感度)コントロール機能は搭載されていませんが,設定→「マイク録音設定」からマイク感度と録音音量をそれぞれ設定できるようになっています。

なお,スピーカの音質についてはやや金属的で耳障りな音ではありますが,音のヌケ自体はいいので,PDAに搭載されたスピーカとしては優秀なレベルでしょう。
音量もサイズの割には結構頑張っている感じです。

音量音質ともにH3800/H3900シリーズには劣りますが,必要十分な品質をそなえていると思います。
# 少なくともカーソルボタンにスピーカを内蔵していた,前モデルのE-2000よりははるかにマシになっています(^^;あれで音楽を聴くのは半ば拷問でしたからね(苦笑)

各種インジケータランプ

本体左上に2つならんでいるのがインジケータランプです。
左から充電状況,SD/CFアクセス状況を点滅して知らせます。

充電ランプは充電中は赤く点滅し,充電が完了すると緑色で点灯しっぱなしになるタイプですので,充電完了後消灯するタイプと違って通電状況を一目で把握できて便利でしょう。

また,SD/CFアクセスランプに関してはメモリカードスロットの項でも述べましたが,SD/CF各スロットへのアクセス時に点滅するため,アクセス中にうっかりカードを抜いてしまったり,電源を落してしまってデータを破壊するというトラブルを回避できます。
# …というか,巨大ファイルコピー時などフリーズしているんじゃないかと心配になったときにささやかな安心感をもたらしてくれる,PC慣れしたユーザにとっては精神安定上必須の装備といえましょう(笑)

なお,SD/CFアクセスランプはE-2000ではアラームインジケータと共用でしたが,本機でアラームインジケータが電源ボタンと共用になった関係で独立したランプになりました。

各種ポート類


本体右側面下部
Mini-BタイプのUSBコネクタとACアダプタジャックを装備
ケーブルを直接ここに接続して同期,充電を行えます

本体下面中央にクレードル接続用コネクタ。本体右サイド下部にUSBポートとACアダプタジャックをそれぞれ装備しています。

クレードル接続コネクタはまたしても仕様が変更されており,E-2000やmuseaとは全く別物となっています。
# 見た目はPocketGearやiPAQのものに酷似。

USBポートはMini-Bタイプの標準的なものを採用しており,汎用USBケーブルを使って母艦と接続することができます。
# クレードル用に添付されているケーブル自体が汎用品なので,これを使ってクレードルなしで接続できるわけです。

ただし,本機はUSBホスト機能はそなえていないため,キーボードやFDDなどのUSBデバイスを接続することは残念ながらできません。

ちなみに,ACアダプタジャックは標準的な形状ですが,コネクタ自体が奥まった場所についているので,非純正のACアダプタや電池BOXなどを利用する際は接続が甘くなりやすいので注意が必要かもしれません。
# ものによっては通電しないかも(^^;

赤外線ポートはCASSIOPEIAシリーズの伝統に則って,本体左サイドについています。
相変わらず名刺交換などに利用するには不便そうな位置ではありますね。

余談ですが,ユーザーズガイドには「NT4.0はUSBに対応していないので母艦との接続には赤外線を使え(意訳)」と書かれていることから,シリアルクレードルなどが将来的にリリースされる可能性は低そうです。

リセットボタン

本体左サイドのUP/DOWNボタン下に装備されています。

ボタンの穴の直径が小さくやや奥まったところについているため,純正以外のスタイラスで押すのは難しいかもしれません。

なおフルリセットは,本体の電源が入った状態で電源ボタンを押しながらリセットです。

クレードル


クレードル
ケーブル類は全て取り外し可能
ただしシリアル接続には未対応

なんとなくl'agenda用のクレードルを連想させる形状になっています。
そこそこの重みがあり,体積も大きいので安定感は悪くありません。
# もっとも前面下部が斜めにカットされているため,力のかけ方によっては(せっかくマスのあるクレードルにも関わらず)ぐらつく場合もありそうですが。

クレードルが本体側面をきちんと包み込んでくれるタイプのため,他機種のようにクレードルにきちんと差し込むのが難しいといった問題とは無縁ですが,きっちりと差し込まないとコネクタがちゃんと接触しないのでその点は注意が必要でしょう。

クレードルから本体を抜く際は固定がしっかりしているのが仇になって,片手で抜くのは難しそうです。

クレードル本体にはMini-BタイプのUSBポートとACアダプタジャックが用意されており,直付けのケーブル類は一切ないのは便利ですが,E-700などでは用意されていたシリアルコネクタが省かれてしまっているため,母艦との接続はUSB接続と赤外線接続の2択になります。
# 一度パートナーシップを結んでしまえば,LAN経由でも接続できますが。

前述の通り,本体側にもMini-BタイプのUSBポートとACアダプタジャックが用意されているため,クレードルがなくてもUSBケーブルとACアダプタだけで母艦との同期,充電をおこなうことができるのは些細ではありますが便利なポイントといえるでしょう。

j568やl'agendaのようにクレードル側に大容量充電池装着時の本体の大型化に対応するような仕掛けがみられないところをみると,大容量充電池利用時は上記USBケーブル+ACアダプタでの運用が前提となっているのかもしれませんね。

ACアダプタ


ACアダプタサイズ比較
上からE-3000,E-700
本体接続用のピンジャックが長めなのがわかります

ワールドワイド対応というわけでもないくせにそこそこ大きく,しかもブレードが畳めないばかりかE-750以前のアダプタのように横面からブレードが生えているといったコンセント回りの占有スペースを減らすための努力は全く払われていません。

ある意味ケーブルの真ん中に大きなユニットがあった,E-2000のものよりもさらに使いにくくなっています。
# E-2000のACアダプタはワールドワイド対応でしたしねぇ。

サードパーティ製に期待といいたいところですが…CASSIOPEIAシリーズですので,あまり期待しない方がよいかもしれません。

ソフトケース


標準添付のソフトケース
ちなみにフリップ部分の固定はベルクロになってます

本機には他機種の(液晶)フリップカバーに相当する装備がありません。
その代わりというわけでもないのでしょうが,ソフトケースが標準添付されています。

ケースの形状は従来通りの電卓ケースタイプで,上から抜き差しする袋状のケースですがフリップが付き,きちんと蓋を閉めることができるようになりました。

また,前面には従来同様(液晶保護を目的とした)補強板が入っているのですが,ケース自体がスウェット地の柔らかい素材になっていますので従来機に添付されていたものよりは本体の出し入れがしやすくなっている印象があります。

個人的には,せっかく蓋がついたのだからベルト通しを付けてくれれば,ウエストポーチとしても利用できたのにと思うとちょっと残念に感じました。

これは余談になりますが,CASSIOPEIAシリーズに他機種のような(液晶)フリップカバーがついていてないのは設計思想が違うためだと個人的には解釈しています。

他機種の場合液晶周囲に余裕がなく,本体ギリギリに装備されているため落下時などに液晶にダメージがいきやすいのですが,CASSIOPEIAの場合液晶を奥まったところに取り付ることで,耐衝撃性をある程度考慮したデザインになっていると思います。

フリップカバーは確かに液晶保護の観点からは有効な装備ですが,操作時に蓋を開けるという動作が1ステップ入ってしまいますから,CASSIOPEIAのようなアプローチもありなんじゃないかなと。
# 選択肢のひとつとして,そういうメーカがあっても良いのではないかという話です。念の為。

ただ,フリップカバーがないとバックの中に雑多なものと一緒に放り込んだ時にはちょっと心配ですが,そんな時にはこのソフトケースに入れてねというのがカシオのスタンスなのではないでしょうか。
# フリップカバーを付けても外しても,問題なく使えるデザインを採用してくれるのがベストであることは間違いないとは思いますが(^^;

起動画面


E-3000起動画面
気恥ずかしいまでの未来感が素敵です <ほめ言葉

リセット直後の起動画面ですが,E-2000で復活したE-503と同様の起動画面が採用されています。

個人的には好きなポイントのひとつです。
# もっといえばE-500の奴が一番好きなのですが(^^;

ROM搭載ソフト

OSのバージョン自体が変わらず「Microsoft Pocket PC Software 2002 Premium Edtion」のままですので,標準搭載ソフトの使い勝手は変わりません。

CASIOの独自ソフトに関してはROM搭載されているのは全画面型のランチャである「Menu」と「カードバックアップ」のみです。
# その他の独自要素としては,スタートメニュー→設定に「IMAP4設定」という項目が用意されており,受信トレイでIMAP4を利用した際に,受信トレイ側で削除したメールをサーバ側からも削除するかどうか挙動を設定することができます。

E-2000から新たに搭載されていたタスクマネージャ「Menu Bar」は何故かなくなってしまいました。

主なMicrosoft Pocket PC Software 2002 Premium Edtion標準搭載アプリ

ROM内蔵ソフト

Microsoft製の標準搭載アプリ(日本語入力ソフト含む)については他のサイトやj568のインプレ記事※辺りを参考にしてもらうとして,カシオの独自ソフトについて簡単に触れておきましょう。
※ Windows Media Playerのみバージョンが8.5にあがっており,パフォーマンスが改善され(たらしい),プレイリスト作成機能でフォルダ単位でファイルを選択できるようになるなどの改良が加えられました。またSkinの変更によりデザインなども微妙に変わっています。
# ちなみにj568でもEUU3を摘要することで,8.5にバージョンアップ可能です。


Menu


Menu
動作が軽快な全画面タイプのランチャ

従来のものからの変更は(多分)一切ありません。
1ページあたり12個のアプリもしくはサブメニューが登録でき,最大10ページまでページを増やすことができます。

サブメニューを作成することで子ウィンドウを開くことができ,6つのアプリを登録することが可能です。
# 従って最大登録数は6×12×10=720個まで登録可能。

アイコンが大きいため指タップもしやすいですし,上下左右のカーソルを利用して移動することができます。
# と書くと当たり前だといわれそうですが,たまに左右or上下どちらかのカーソルしか使えないランチャもありますので(^^;たとえばスタートメニューとか。

ページの切り替えは上部のドロップダウンリストもしくは,その横の▲▼ボタンで行いますが,左上と右下のアイコンからさらにカーソルボタンを上下させることでもページを繰ることができますので,カーソルボタンのみで複数ページを切り換えることが可能です。

また,ページ編集時にカット&ペーストを使ってアイコン登録位置を簡単に修正できる点は便利でしょう。
# 意外とこれができないのが多いんですよ(^^;j568の「hp ホームメニュー」とか。

スタートメニューに登録されたプログラムを自動登録してくれる「アプリケーション自動登録」機能があるので,これを使って一括登録したあとにカット&ペーストを繰り返せば簡単に作業を済ませられる点などはよく考えられています。

ただ,本ソフトをプログラムボタンに割りつけても,プログラムボタン連打でページ送りができない点は他社製ランチャに対してやや見劣りする点といえるかもしれません。


カードバックアップ

E-2000では諸般の事情により搭載されていなかった,カードバックアップが復活しました。

本アプリを使うことで本体RAMの内容を丸ごとメモリカード上にバックアップできるため,出先でのバッテリ切れによるフルリセットなど不測の事態に対応できるのは嬉しいところでしょう。

また,今回からはバックアップ時にバックアップの対象となるデータを選択できるようになりました。内訳は以下の通り。

バックアップ項目

なお,受信トレイのデータに関してはバックアップすることができませんので,ActiveSyncの機能を利用する旨但し書きがあります。
# この辺りは受信トレイ修復時に正常にデータが復帰できないという,Pocket PC 2002側の既知の不具合が理由と思われます(^^;

バンドルソフト

以下のソフトがバンドルソフトとしてCD-ROMに収録されています。

Pocket PC用

母艦用

せっかくの辞書がROM搭載されていないのがなんとも残念な限り。
# この辞書,検索にワイルドカードが使えるのは嬉しいのですが,文頭に使えないため結局は後方一致検索ができないってのはイマイチな感じです(^^;

また,定番のバンドルアプリである「Macromedia Frash」が添付されていないのがちょっと気になりました。
Q&Aに「Flashムービーは見れません(意訳)」とか堂々と書いてしまうのはいかがなものかと…
# ちょうど「Macromedia Flash Player 6 for Pocket PC 2002」のリリース時期と発売が重なってしまったからでしょうかねぇ?

ダウンロードソフト


モバイルスケジュール
システム手帳風の表示画面を採用したシンプルな予定表置き換えソフト

モバイル住所録
名刺風の表示画面を採用した住所録の置き換えソフト

本体購入後アンケートに答えると以下のソフトがダウンロードできます。
# ちなみに機種判別によるプロテクトがかかっているので,他機種ユーザが落しても使えません(笑)

無償ダウンロードソフト

モバイルスケジュールとモバイル住所録に関しては,システム手帳を模した電子手帳ライクなPIMソフトで,標準のPIMデータベースを利用するため,Pocket PC標準の予定表や住所録とデータを共用して,母艦のOutlookとデータを同期することができます。
# ちなみに従来のバージョンと比較して,特に改良点などはないっぽいです(^^;

月間表示時に予定内容が表示できなかったり,仕事(Todo)の同時表示に対応していないなど突っ込んだ活用をしたいひとには不向きなソフトといえますが,機能を絞り込んでいる分シンプルで扱いやすいソフトに仕上がっていますので,電子手帳の延長やPDA用PIMソフトの入門用に最適でしょう。
# 住所録の起動時のデフォルトを会社一覧から個人一覧に変更できないなど,カスタマイズがほとんどできない点はちと不便だったりするのですけどね(^^;

ただ,せっかく初心者に使いやすいソフトをROM搭載しないどころか,CD-ROMにすら収録しないでダウンロードサービスにしてしまうという辺りは,どんな事情があったのか知りませんがちょっと見識を疑いたくなってしまうところです。

こうしたシンプルなソフトは,PDAを購入したらカスタマイズせずにそのまま使っている(らしい)ような一般ユーザーにこそ使ってほしいソフトなわけですから,次回は絶対にROMに搭載してほしいところですね。
# ひょっとしてMicrosoftの縛りがあったりするのかなぁ?(苦笑)
# E-503なんかはROM搭載してたんですけどねぇ。


Mobile E-mailerは受信トレイと同じく標準のデータベースを利用したソフトですが,IMAP4に対応していない点が受信トレイと比較してやや劣っています。
が,各種設定などが初心者などにも使いやすくカスタマイズされているのが特徴です。

これらのダウンロードソフトの詳細に興味があるひとは,オフィシャルページからPDFマニュアルがダウンロードできるので,目を通してみることをおすすめします。

ソフト絡みでちょっと気付いたこと

いじっていてソフト絡みで気付いたことが何点があったので,蛇足ながら書いておきます。

まず,日本語版では公式対応していない(レジストリを操作することで有効にできる)「ClearType」※ですが,PocketGearと同様に本機では有効にできない模様です。
※ WindowsXPでも採用されている文字のアンチエイリアス機能。

Pocket PC 2000と違いPocket PC 2002では日本語も結構綺麗に表示されるようになったので,非公式部分とはいえ残念です。
# ちなみにPocketGearが対応していなかった,ソフトウェア操作によるリセットは問題なくできる模様。

それと気にするひとは少なそうですが,スタートメニュー→プログラムにある「ユーティリティ」フォルダが(扱いが特殊なのか)削除できません。
# E-2000もそんな仕様だった気がしないでもないです。 <よく覚えてませんが(^^;

純正オプション

ある意味CASSIOPEIAシリーズ最大の泣きどころがオプション類の少なさなのですが,本機のそれは過去最高(というか最低というか)レベルといえます。

なにしろ現在ラインナップされているのは「標準充電池」「大容量充電池」「充電器」「ACアダプタ」「USBクレードル」のたったこれだけしかありません。
# ついでにいうなら,3月末の段階では店頭にならんですらいませんでした。
# まぁ,これは毎度のことではあるのですが(苦笑)

従来利用できていたケーブル接続による携帯電話による通信機能(ソフトモデム)などもE-3000では利用できなくなってしまっているのも非常に残念な点です。
# 個人的には,ライトユーザを取り込むには必須の機能だと思うのですけれどね。
# みんながみんなCF型のPHS通信カードを契約していると思うのは,大間違いなんじゃないかと。

さらに,本体発表時点で発表されていなかったオプションが後日発売された例は今までなかったと記憶していますので,今後の充実も望み薄といえそうです。

親指打ちのキーボードが使いたいとか,外付けキーボードが必須というひとは本機を選ぶと後悔することになりますので注意しましょう。
# まぁ,サードパーティからでる可能性はあるでしょうが,カシオは(これまでの実績を鑑みるに)その辺りの政治力(?)もあまり期待できない気もします(^^;

マニュアル

ユーザーズガイドは残念ながらPDFによるCD-ROM供給になっていますが,「はじめにお読みください」「クイックスタートガイド」「困ったときに Q&A」の3冊の紙マニュアルが添付されているのは初心者には嬉しいところでしょう。

なかでも「困った時に Q&A」は必見で,Pocket PCを利用する上でありがちなトラブル(たとえばジョンソン歯科医院とか)と解決方法を,33ページにもわたってQ&A形式でまとめています。

『Pocket PC 2002の既知問題』と但し書きされている項目がガンガンでてくる辺り,ユーザとしてはトホホな気分にもなってしまいますが,こうした情報を(隠さず)まとめてユーザに提供してくれる姿勢は大いに歓迎したいところです。
# というか「Pocket PC 2002 レスキューガイド」とでも題して,他機種ユーザ向けに書店売りしてくれないかなとか思ってしまうのですがいかがでしょうか?(笑)

総括

以上駆け足でE-3000の特徴をみてきたわけですが,本機の魅力はなんといっても交換可能なバッテリと公称18時間にも及ぶバッテリ駆動時間でしょう。

LEDバックライトを採用した鮮やかな半透過型液晶を搭載したことによって,屋内外問わず美しい表示を利用できるのも嬉しいところです。
また,PXA255によるキビキビとした動作速度も魅力的と,PDAとしての基本の部分をきっちりと作り込んだマシンという印象があります。

ただ,液晶画面が3.5inchと小さく,カメラやキーボードなどの流行りの付加要素は一切なくハデさに欠ける上,ROM搭載された独自ソフトもわずか2種類のみと+αの部分がほとんどない点が弱点といえるでしょう。
オプション類の充実も期待できませんから,初心者が1台目としてとりあえず買ってみるマシンとしてはおすすめできないというのが正直な感想ですね。

これでモバイルスケジュールをはじめとする無償ダウンロードソフトがROM搭載されていればまた違っていたと思うので,この辺りはなんとも残念な限りです。

反面Pocket PCを何に使うかを自分で既に分かっているひと(キラーアプリがあってそれを快適に使いたいとか)や,ソフトウェア環境を自分でカスタマイズしてでもPDAを使い倒したいと思っているような意欲のあるひとには変な癖や欠点がないぶん『素体』として最適な製品に仕上がっていると思います。
# つまり『E-3000で自分がやりたいと思っていることができると理解しているひと』にとっては迷わず買いの一台ってことです。自分が何をやりたいのかまだ分かっていないひとは買わない方が無難ですね(^^;

結局のところ,『良くも悪くもCASSIOPEIAらしい1台』に仕上がっているといえるのではないのでしょうか。
堅実な作りは玄人受けはするでしょうが,魅力に乏しく新規ユーザの開拓は難しい気がします。
結局カシオのターゲットは法人需要ということなのかもしれません(嘆息)

蛇足

なんというか,Ps/PC時代からスタンスが全く変わっていないメーカですよね。
この辺りの硬直具合はPocket PC自体にもいえることのような気もしますが(嘆息)

付録/摘要

長所

短所