もうすぐ春です。 分厚いコートを着ずにすむのかと思うと身も心も軽くなるというものですが,Pocket PCユーザからすると喜んでばかりもいられません。
なぜって、コートを着れなくなるとポケットの数が減りますし、薄着になればポケットの脹らみも目立ってしまうようになりますからね。
事態はわりと深刻といえましょう(^^;
Pocket PC 2002搭載マシンはどれも本体重量が200gを切ってますし,一昔前と比べればずいぶんとコンパクトになっては来ましたが,夏服の胸ポケットに入れるにはちょっと苦しいものがありますし。
# 夏服の話を持ち出すには微妙に気が早いか(笑)
鞄に入れるにしろ、腰に付けるにしろ、そろそろ専用ケースを買おうかななどと考えているひとも多いのではないでしょうか。
タイムリーにも『こまもの本舗』さんが新たに取り扱いを開始した『Piel Frama社製』のhp jornada 560シリーズ専用ケースを試用させていただく機会に恵まれたので、今回はこれをネタにレビュー記事を書いてみたいと思います。簡単な
私自身は寡聞にして知らなかったのですが,Piel Frama社は革製品の本場(らしい(^^;)スペインの会社で,主にアメリカ市場向けの携帯電話ケースで実績を積んできた,この分野では老舗のメーカーだそうです。
本牛革(この製品は柔らかい子牛革だとか)を素材に,強度が要求される部位の裏地には合成繊維を採用し、ドイツの有名な繊維メーカーGutermann社の100%ポリエステル糸でスペインの職人さんが丁寧に手作業で縫製…
といったような売り文句が,こまもの本舗さんのサイトに書いてあります。 <オイ
# 銘菓を食べる時でも,説明を読んだ方が美味しく食べられる気がするので,一応紹介(笑)
今回私がお貸しいただいたのはhp jornada 560シリーズ(つまり日本語版はhp jornada 568)用ですが,その他にもiPAQ H3630/3660用3タイプ,GENIO e550/e550x用,Palm m500/m505/Work Pad c505用がラインナップされており,それぞれにブラック,タン,ブラック/タンの3色のモデルが用意されています。
実際にはhp jornada 568用は現在の段階では近日発売予定となっているため,試用したモデルはサンプル品ということになりますね。
ちなみに,同じく近日発売予定のラインナップとしては,CASSIOPEIA E-2000,CLIE PEG-N700C/750C用の名前があがっていました。
実際の製品内容ですが,jornada 568の『フリップを取り外した状態で収納』する形になっており,CFタイプPHS通信カードや大容量orSDバッテリやキーボードといったオプション類を装着したままケースに収納することはできません。
# ま,当たり前といえば当たり前なんですけどね(^^;
また,全モデルにベルトクリップが装備されているのも特徴となっています。
本ケースは,こまもの本舗さんが従来から扱っていたエフテル製のケースと異なり,前面カバーが上開きになっており,背面に回り込んだベルト(っていうのかな?)をベルクロではなくホックで止める形になっています。
構造的には背面と前面のパーツが1枚の(板状)パーツ(以降メインパーツ)で構成されており,そこに本体を覆う形で1枚革のパーツが縫い付けられる形になっていますので,エクストリームリミットのものよりは,エフテル製のケースに近いですね。
薄型化に向いた構造といえるのではないでしょうか。
素材に関しては,表面の感触としてはエクストリームリミットのものと違い硬さを感じさせない柔らかいものとなっていますが,エフテル製のような軟質のものともまた違った感じで,形くずれれする心配などはありません。
# ひとことでいえば,よい素材が使われているということですな(^^;
本体の裏と表を保護することになるメインパーツは,柔らかい革素材の中に黒いスポンジのようなものと,芯となる板パーツが入っているらしく,触るとフカフカした印象ですが,グニャグニャと曲がったりしない比較的しっかりした作りになっていますので,本体や液晶の保護にも効果を期待できそうです。
# 無論これは+αの要素であって,保護機能が売りなわけではないでしょうから,落下時の保証などはないわけですが(^^;
ただ,スポンジ素材が入っているため,全体的にふっくらしたシルエットになっていて,hp jornada 568のCF TypeIIを捨ててでも維持したかった薄さはやや影をひそめてしまうことになるのは残念なところでしょうか。
# そこが我慢できない人はケースに入れるなという話はありますな(笑)
縫製に関しても,素人目からすると十分丁寧で,強度的にも悪くない印象を持ちました。
ただ,革の切断面や,ケース下部の革と革の接合部を目止めおよび接着(?)している目止め剤(というかどうか知りませんけど)の色が革の色よりも濃くなっているため,少々目立つのは残念なところです。
# ここまで目立つのなら,もうちょと丁寧に塗った方がよい気がしますな。
ブラックモデルなら目立たなかったのかもしれません。
ちなみに,液晶カバー(メインパーツ前面)裏にはカードを入れるためのスリットが3つとポケットが1つついているので名刺などを入れるのには重宝しそうです
ただし,あまり分厚いカードを入れてしまうと液晶面と干渉する可能性もありますから,注意する必要があるかもしれませんね。
# また,スリットの方はストッパーがついているので,名刺が奥に入って取れなくなったなんて事態には陥らないのですが,ポケットの方はヘタなものを入れると取り出せなくなったりする『かも』しれませんねぇ(笑)
次に各ボタン回りの処理ですが,前面は液晶,カーソルボタン(およびアクションボタン),アプリケーションボタン回りを含めて大きく切り取られています。
しかし,前述の通り形くずれしにくいしっかりとした素材が使われているため,以前レビュー記事を書いたエフテル製iPAQ専用ケースと違って,革が浮いたりだぶついたりといったことは全くない点は素晴らしいですね。
その他に左側面のスクロールボタン(およびボイスレコーダボタン),電源,スピーカ,ヘッドフォン,電源端子,輝度センサ,マイクの各部分にも穴が空けられています。
# インジケータボタン部分も切欠きアリ。
が,CFスロット部分はカバー覆われたままになるため,前述の通りCF方PHS通信カードなどを挿しっぱなしにして運用することはできません。
また,海外の製品らしく(?)ストラップ穴などは一切用意されていません。
その代わり,プラスチック製のベルトクリップが取り付けられるようになっています。
# 海外の携帯電話は結構ストラップ穴がなかったりするようですしねぇ(^^;
最後に,デザインに関して少々。 こちらはは写真をみてくださいといった感じですが,個人的にはシンプルながら機能美を感じさせるよいデザインだと思います。
# 特に私が借りたブラック/タンモデルは黒い部分のパーツと,そこに映えるタンのステッチ部分がよいアクセントになっているんじゃないでしょうか。
お次に実際の使用感ですが,よい点もあり悪い点もありといった感じですね。
最初に悪い点を書いてしまいましょう。
まず,電源ボタン穴の回りに遊びが少ないため,革の厚みも相まって指を立てて押すような感じでないと操作できない点は残念です。
電源ONはボイスレコーダボタンなどで代用できますが,電源OFFの際は(GSPocketMagicなど何らかのソフトを利用しない限り)押す必要がでてきますからちと不便な感じです。
次に『シリアルポート部分には穴があいていない』のも少々問題ありでしょう。
まぁ,このケースを付けている時点でクレードルにも挿せませんし,pocket キーボードも付けられないので,『シリアルケーブル』とか『USBケーブル』といった比較的マイナーなオプション(失礼(^^;)を使っている人以外は関係ないのですが,穴があいているにこしたことはないような気もします。
最後に,スクロールボタン周辺の穴がやや小さめなので,上スクロールボタンが少々押しにくくなっています。
# まぁ,この辺りは個体差という可能性も否定できませんけどね(^^;
ちなみに,CFスロット部分に穴があいていないことに関しては,好みの問題だと私は思います。強度が落ちたりデザインが損なわれるなら無理に穴が空いている必要はないと個人的には思いました。
それと,こちらも既に書きましたが,ストラップ取付用の穴がないのもちと不満の残るところですね。
強度的な保証はできませんが,どうしても付けたい場合ヘッドフォン穴辺りを利用するとよいかもしれません。
で,よいところですが,なんといってもベルトクリップの構造の秀逸さがあげられますね。
エフテル製のものと違い,クリップ部分が本体と分離していて,回転するため実際に腰に付けてもあまり邪魔になりませんし,スライドストッパーを押し込むことで,簡単にベルとクリップと本体を分離させることができるので,素早く着脱して利用することができます。
この辺りはエクストリームリミットのベルトクリップモデルも同様なわけですが,本ケースの場合,さらに本体側のクリップ取り付け基部にプラスチック製の非常に薄型のものが採用されているため,クリップを取り外した状態で手に持っても全く邪魔にならないため,実際の使い勝手ではかなりの差が感じられました。
液晶カバーを背面側に回した場合,クリップ取り付け基部の存在は全く意識されないほどです。
また,こちは既に書きましたが,ベルクロではなくホックを利用して蓋を固定する点も使いやすくてよいですね。
蓋を開く際にでる音が少ないので,電車の中などでも気軽に利用することができますし,ベルクロほどヘタる心配をしなくてすむのもありがたいところです。
固定用のホックが1つということで心配される強度ですが,固定時の感覚がソフト(固定時の渋さがない)わりに,きっちりとはまるので,問題なさそうな感じです。
# 支点が1つなので,蓋の下端が左右に多少動くってのはありますが,実用上問題ないで
しょう。
さて,ここまで本ケースの特徴をざっと紹介してきたわけですが,最後に全体的な印象についてふれて,まとめとしたいと思います。
細かな不満点はあるものの,作りの良さやベルトクリップ回りの使いやすさなどは,それを補ってあまりある長所だと感じました。
hp jornada 568自身は横幅が狭く周囲にゴム素材が配されているなど,かなり握りやすいですし,またPocket PCの中では最も薄く,しかもフリップカバーを標準で備えたマシンです。
たとえどんなケースであっても,こうした長所はスポイルされてしまうわけで,それを考えれば正直,剥き身のまま使うのが正解かとも思わないでもありません。
# 本文中で握り心地について言及していないのはこのためです(^^;
# 実際のところ,他のケースと比較した場合,かなり優秀な部類に入ることは間違いないと思います。
が,冒頭にも書きましたが,これから夏場に向かってバッグに入れたり,腰にぶら下げたりといったことがしたいと思う人も少なくないでしょう。
# かく言う私もそのひとりだったりするわけですが(笑)ケースが必要だと思っている人には,自信を持ってお薦めできる逸品ではないでしょうか。