Pocket PCがらみではないのがちょっと気がひけますが,このページでは,Piel Frama社製の「SONY CLIE PEG-NX73V/PGE-NX80V専用ケース」を紹介していきます。
(記事公開日:2004/01/31)
参考リンク
ブラック/タン正面
ケース上面より
CFスロット用の穴が開いているのが分かります
唐突ですが昨年末の価格改訂を機にCLIE PEG-NX73Vをサブマシンとして購入しました。NX73V,NX80Vとも1万円近いプライスダウンで(3月に発表されるであろう新機種を考慮しても)お買い得感が感じられる価格設定になっており,同様に購入されたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私にとってはT600C以来久々のPalm OS搭載機ということもあって楽しく使っているのですが,普段常用しているHP iPAQ Pocket PC h1937に比べると(当然のことながら)重く大きく胸ポケットに入れて持ち歩くにはちょっと厳しいサイズで,持ち運びに少々難儀していました。結局バッグに入れて持ち運ぶことにしたのですが,さまざまなものと一緒くたに放り込むことが多いとケースが欲しくなってきます。
# PDAが傷つくだけでなく,一緒に入れているものが傷ついてしまうというのも困るわけです。
私の場合手ぶらで出歩きたいときなどベルトクリップを利用して腰のベルトに直接ぶら下げることも多いので,当然のベルトクリップ付のケースを探したわけですが……全く見つかりません(汗)
# 現在は「Covertec NX73/80V」(pocketgames扱い)というケースが販売中。
無いものはどうしようもないので次点を探した結果,たどり着いたのが本ケースというわけです。
こまもの本舗さんには毎回ケースをお借りしてレビューを書かせていただいていますし,今回こそは自費で購入しようかなぁなどと思っていたのですが,別件でメールをやり取りする機会がありその流れでまたしても製品をお借りすることになっていました。
ありがたいやら申し訳ないやら,複雑な心境ではあります(^^;
このようにエクステンション部が大きいと引っかかってしまってフリップを開けることができません
ポケット周辺部
私の場合,内側の隠しポケットにはSuicaを入れています
これで決済機能搭載PDAに!(^^;
と前置きはこれくらいにして,まずはケースの概観から。
ケースの構造ですが,NX系のケースとしては非常にオーソドックスな造りです。本体側下部をケースに差し込んで固定する仕組みで,それ以外の部分は板状の1ピース構造となっています。
素材は例によって柔らかい子牛革(強度が必要な部分には合成繊維)が使われていますが,折り返し部分(可動部分)以外の液晶側と本体裏側を保護する部分には補強用のプレートが入っているので強度的な不安は感じません。また折り返し部分(逆説的には補強用のプレートが入っていない部分)が大きめにとられているため,CFスロットをポップアップした状態でも蓋を閉めることが可能です。
加えてCFスロットの挿入口部分に専用の穴が設けてあるので,CFカード型PHSカードなどエクステンション部がスロットからはみ出るカードを装着したまま蓋を閉めることができるようになっているのはうれしい配慮でしょう。
# とはいっても単に穴が空いているだけといった構造ですから,よほどエクステンション部が小さいカードでない限りは開け閉め時にカードの抜き差しが必要になってしまうのは残念な限りです。私の手持ちのP-in
Memoryクラスで既に抜き差し必須でした……
蓋を固定するためのクロージャーには強力なマグネット(本体側,固定ベルト側の両方に内蔵)が採用されており,素早く開け閉めできるようになっています。
液晶蓋部分にはメモリースティックを入れることができるスリットが2つと,カード入れが3つ。さらに液晶蓋部分の内側にポケットが1つ用意されています。
またHotSyncコネクタ部分には切欠きがありますので,クレードルこそ利用できないものの本体付属のプラグアダプターを使って充電したり,同アダプターにミニBタイプのUSBケーブルを接続してHotSyncしたりすることも可能です。
# =HotSyncケーブルによるHotSyncおよび充電が可能。
# HotSyncボタンがない分,ソフトを手動で起動するというひと手間あるわけですが……
ジョグダイアル周辺部に切欠きはありませんが,このようにフリップ部が垂れ下がるために邪魔にはなりません
キーボード利用時にこのような感じで指を引っかけてやると,本体が安定して入力しやすくなります
で実際に使ってみた感想ですが,良くいえば堅実,悪くいえば面白みに欠けるケースというのが正直なところです。
たとえば,PDairのものは基本的な構造こそ本製品と変わりませんが,ターンスタイル時に液晶面と液晶蓋のスリットに入れたメモリースティックが干渉しないようにカード入れに差し込むタイプのカバー(保護用フラップ状パーツ(着脱可能))がついていますし,EXTREME LIMITのものは本体裏面側にファスナーがついておりここを開けることでクレードルに装着することができます。
前出のCovertecのものは構造的には本製品と同じですが,ベルトクリップモデルが用意されている点は見逃せません。XIGMAのものは縦型や横型,革製とバリスティックナイロン製,CFスロット部分の蓋を2段階に固定できPHS通信カードのエクステンション部分もケースの内側に格納することができるモデルなど豊富なラインナップが特徴です。さらにBellagio Designs(pocketgames扱い)のものは本体裏面がフリップ状に展開することでクレードルに装着できる凝った造りを採用しています。
これらと比較してしまうと本製品は少々地味で,この製品ならではといった部分が感じられないのが少々残念なところでしょうか。ただし余計なギミックがない分非常にスリムですし,クレードルへの装着が不可能な程度で機能的に大きく見劣りしているわけではありません。
全体的に丁寧な縫製※(CFスロットの穴の周囲も補強済み)が施されていて,革の柔らかな手触りも相まって物としてのよさが感じられるのもうれしいところでしょう。また従来の同社製ケースは革の内側に補強板の他にスポンジ素材が入っていたためどうしても厚くボッテリとしたシルエットになってしまっていたのですが,本製品ではこれが省かれたらしく先にも述べた通り非常にスリムなシルエットを維持している点はポイントといえそうです。
# まぁその分衝撃に対する保護が犠牲になっているという見方もできそうですが,ウィングデザインのおかげで元が大柄なNXシリーズがケースによってさらに巨大になってしまうことが防げるのはありがたいところなのではないかと(^^;
※ こまもの本舗さんのサイト曰く『有名な繊維メーカーGutermann社の100%ポリエステル糸でスペインの職人さんが丁寧に手作業で縫製』。
他の製品ではジョグダイアル部分(の背に当たるパーツ)が操作しやすいように切り欠かれているものもありますが,本製品にはそうした工夫も特にありません。が補強板がCFスロットの裏に当たる部分に入っていない関係で蓋の部分が大きく下に垂れ下がる(写真参照)関係で,ジョグダイアルの操作性に悪影響が無い点はよく考えられている(偶然の産物?)と感じました。
またオープンスタイルでキーボードを利用する際に,この垂れ下がっている部分に指をかけることで本体のホールドが楽になり快適に入力できる(写真参照)のも密かな長所といえるかもしれません。
クロージャーにマグネットが採用されているのは先に述べた通りですが,ここは好みの分かれる点でしょう。
私などは8bitの頃からパソコンに親しんでいたおかげで「マグネット=磁気記録メディア(フロッピーディスク等)の敵=コンピュータの敵」という認識があったので,最初仕様を見た時は『スナップからマグネットにするなんて改悪だ!』と思ったのですが,本製品を使う内にきっちりとはめてやらないと固定できないスナップタイプのものと異なり,クロージャー部分を近づけてやるだけで勝手に吸いつくように固定されるマグネットタイプも悪くない(目視せずに開け閉めする時などは特に便利)なと考えを改めさせられました。
さらにマグネット固定じゃバッグの中や落下した時に勝手に外れたりズレたりするんじゃないの?という不信感もあったのですが,マグネットが強力なためかかえってスナップタイプよりもきっちりと固定されている感じでそうしたトラブルとは無縁だったのも正直意外に感じさせられたものです。
……とここまではよかったのですが……ある日帰宅してNX73Vをクレードルに挿す際に本ケースをテキトーに机の上に置いたところ,朝起きてビックリ。『クロージャー部分にmicrodrive(1GB)がひっついているではありませんか!(悲鳴)』幸い今回はハードウェア,データともに破損はありませんでしたが,もし壊れていたら金銭的,精神的,時間的ダメージは計り知れないものがあります(汗)
やはり時代は変わっても磁気記録メディアが存在する限りマグネットはコンピュータの敵だと再認識させられた瞬間でした。みなさまもマグネットの扱いはくれぐれも慎重にということで(苦笑)
# うっかりノートPCのHDD部の上に置いちゃったりしないよーに気をつけましょう(^^;
なおストラップホールの類や各種コネクタやボタン専用の穴などは用意されていませんが,本ケースは側面がフルオープン状態で,NXのコネクタ,ボタン類は側面に集中的に配置されていますから実用上は全く問題ありませんでした。
ケース右側面より
このように横方向はフルオープンのため,コネクタ関係へのアクセスは自由に行えます
ケース下部の本体固定部
HotSyncコネクタ部に穴が開いているのが確認できます
CLIEロゴの部分が切り抜かれているのが本ケース唯一の遊び心でしょうか
面白みに欠けるなどと好き勝手なことも書いてしまいましたが,結局のところ本製品の魅力はそのオーソドックスさにあるのだと思います。ギミックがついているのも楽しかったり便利だったりしますが,実際にはその分大柄になってしまったり,構造が複雑でケース自体の着脱が困難だったりするわけです。
その点本製品は1枚板にケース固定部とクロージャーが付いただけというこれ以上は無いくらいシンプルな構造を採用している分,スリムで着脱も容易。私の用途のように外出時にちょっと取り付けて傷防止に役立ってくれれば十分といった用途には最適のケースといって良いのではないでしょうか。
個人的にはぜひベルトクリップモデルもラインナップに加えてほしかったところですが……
側面がフルオープンになっている分,強度が保持できないということなのかもしれませんね(残念)