Axim X50v OSの改良点

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OSの改良点

OSとソフトセットが「Microsoft Windows Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PC日本語版」(長すぎ……)にバージョンアップし,何点か機能強化が図られていますが,エンドユーザにとって重要な変更点は,「VGA対応」「正方形画面対応」「画面回転対応」「PIEの1列画面表示対応」の4点でしょう。この内「正方形画面対応」はキーボード付デバイス向けですから,X50vとは無関係です。残る3つに「Windows Media Player 10搭載」を合わせた4点を中心に簡単にみていきましょう。

VGA画面比較
右が2003 SEのVGA画面。左が「SE_VGA」でリアルVGA化したもの。
クリックで拡大できます。

●VGA対応

ようやくというべきか,ついにPocket PCもVGA(480*640)画面への解像度向上を果たしました。従来のQVGA(240*320)と比較すると一気に4倍の解像度を手に入れたことになります。

従来のQVGA画面では美しい日本語表示にはほど遠い状態でしたが,ようやくPocket PCも日本語表示に必要な画面解像度に達したといえるでしょう。
確かにQVGAでも実用上は問題なかったわけですが,一度VGA表示を見てしまうと以前のQVGA表示には戻りたくなくなってしまいます。

ただし,おそらくは操作性の維持と互換性の維持の観点から,ナビゲーションバーやコマンドバーといったUI部分のサイズはこれまでと共通で,フォントや画像など画面構成要素のDPIのみが向上した形になっています。
このことはわりと批判の対象になっていると思うのですが,私自身の意見としてはむしろ正反対で,何も考えずに単に解像度が上がっただけという結果にならなかったことを評価したいところです。

元々Pocket PCのUIはPDAの実画面サイズに最適化する形でデザインされているわけで,単に解像度が上がったからという理由でいきなり非難の対象になるのは得心できません。
# 4インチ液晶搭載機種も以前からあったわけですし。

むしろ問題は2003 SEへの対応状況が(特に日本語版アプリケーションで)まだまだな点だと思います。また横画面表示を導入したことで,縦方向の表示面積が不足するという問題が発生するようになった点も見逃せません。

横画面表示時のPocket Excel
横画面表示中の「Pocket Excel」です。
ステータスバーなどが面積を占有し,手狭に感じられます。

「Pocket Excel」などのようにステータスバー(相当)やタブ表示領域が存在するアプリケーションは,大幅な改良が必要だと思います。Windows Mobile 2005では標準搭載アプリの改良が図られるようですので,画面モードによってステータスバーがサイドバーに切り替わるなどの技を見せていただきたいものです。
# あくまで一例で,もっと上手いUIがあるかもしれません。

(UIの拡大表示などは行わずに)単純にVGA表示を行う(いわゆるリアルVGA)モードにも標準で対応するべきでは?という趣旨の意見を読んだこともありますが,使い勝手や(特にサードパーティの検証)コストを考慮すると,現在のノンサポートだけどオンラインソフトを利用すれば使えるくらいの状況がベターだと思います。
# もっともリアルVGA下では,日本語版のSIPが全滅な点はなんとかしてほしい気はしますが……。
# 文字サイズを落とすことが可能になったことで,画面上下のバーが2〜3ドットくらいずつ細くなればいいのにとも思いますが,これまでの資産を捨てることに繋がりますから,ドラスティックなUIの改善とセットでもない限り実現は難しいでしょうね。

閑話休題。

VGA対応に伴って「設定」「システム」タブ→「画面」「文字サイズ」タブでフォントを5段階で調整できるようになっています。しかし,大抵のソフトはフォントサイズを自前で指定しているので,Today画面や予定表,アドレス帳などごく一部のソフトで文字サイズが変わる以外はほとんど影響がないようです。多分。
# 私はデフォルトのまま利用しているので,気付いていない箇所もあるかと。

なお,VGAに対応できていないソフトの場合,文字が縦横2倍に伸張表示されるため,QVGA以上にカクカクになってしまってとても悲しい状態になります。特にテキストビュア系の早期対応を希望したいものです。
# 「Namo HandStory」「T-Time」「ブンコビューア」辺りが全滅なのが泣けます。

画面回転とスタート メニューの変化
画面モードによってスタート メニューの構成が変化。
クリックで拡大できます。

●画面回転

以前から画面を回転して,横画面(いわゆるランドスケープ表示)での利用を可能にするオンラインソフトはありましたが,OSの機能として正式に対応した点と,なにより再起動を行わずに即縦横を切り換えられる点がポイントです。

X50vの場合「設定」「システム」タブ→「画面」から切り換えることになりますが,プログラムボタンに割り付け可能なので,用途に応じて気軽に切り換えて利用することができます。

ソフトによっては動作中に切り換えると表示が崩れる場合がありますが,その場合でもソフトのみ起動し直してやればよいので,利用するに当たって特に注意しなければいけない点はなさそうです。
# タスク管理ソフトを導入していないと,ソフトを終了するのが少々面倒ではありますが。

なお横画面対応に伴って,スタート メニューの仕様が若干変更になっています。
従来のスタート メニューは最上段に実行履歴(最大8件)が横に並び,その下に9個のソフトが登録可能となっており,最下段には「検索」と「ヘルプ」が用意されていました。
上記の構成が,最上段に7個の登録ソフト,その下に最大5件の実行履歴が並ぶようになり、「検索」と「ヘルプ」は通常のソフトと同じ扱い(1登録ソフト)になりました。

これは,横画面時にスタート メニューがあふれてスクロールが発生するのを防ぐ措置と思われます。ちなみに横画面時には縦の表示幅が狭くなる分,実行履歴が従来同様最上段に横に並ぶ形に変化します。

なかなかスマートで悪くない仕様だと思いますが,「ヘルプ」は(もともと)最前面にあるソフトに応じてヘルプ内容が変わる仕組みなので,スタート メニューの1階層目に登録してあるか上手いこと実行履歴に入っていないと,ヘルプのルート画面が表示されることになり,少々不便です。初心者には不親切かもしれません。

●PIEの一列表示への対応

イマイチ使えないと評判の,標準搭載Webブラウザ「Pocket Internet Explorer」が「1列に表示する」に対応しました。
一列表示というのは,従来の「画面に合わせる」が横方向に画面を縮小し,折り返し位置を調整することで横スクロールの発生を抑制していたのに対し,ページの構成をPDA向けに最適化して表示を行う点が異なっています。

NetFront」などには以前から搭載されていた機能ですが,たとえばニュース系のサイトなどナビゲーション関連のメニューが画面左側に並んでいて横幅の大きなサイトを表示すると,本来メニュー部分の右側にあるはずの本文がメニュー部分の下に再配置されて,横スクロールを使うことなくページを閲覧できるようになるため,便利です。

VGA化に伴って小さなフォントの視認性も向上し万々歳……といいたいところですが,相も変わらずページの構成要素を一度に読み込もうとするため,ページ読み込みが遅い点は変わっていません。
レンダリングに時間がかかるのか,「戻る」ボタンで前のページに戻った時にも結構な待ち時間が発生するのも頭の痛いところでしょう。
Windows Mobile 2005で行われる改良とやらに,期待したいところです。
# 「NetFront」の2003 SE対応版が未リリースなのも,つらいところですねぇ。
# ニュースサイト系は「2++」で巡回するという手もありますが。

書き忘れていましたが,画像がQVGA相当に勝手に拡大されてしまうのもPIEの致命的な欠点といえるでしょう。せっかくのVGA表示にもかかわらず,フォント以外はQVGAと同様の表示になってしまいます。なんでこんな仕様なのやら。

WMP10ライブラリ画面
WMP10のライブラリ画面。
アーティスト一覧からプレイリストを作成中。

●Windows Media Player 10搭載

同じ2003 SE搭載機でも発売時期によって,WMPのバージョンが異なっているのですが,X50vは最後発なので最新版の10が搭載されています。
# X30シリーズなどアップデータを適用することで,WMPのバージョンが上がる機種もあります。

対応形式に関しては代わりばえしない印象ですが,ライブラリという要素が新たに導入されたことで操作体系が大きく変更になり,Windows Media DRMにも対応しています。
# WMP9ってWMA 9 Lossless辺りは未対応でしたっけ?
# やはりWMP9では未対応だったようです。情報ありがとうございます。 >中村さん
# ちなみにヘルプによれば,WMP10の場合ハードによっては,サンプリングレートに上限(48KHz)がある模様です。

WMPを起動するとまずライブラリ画面が表示され,そこから演奏したいアルバムやアーチスト,ジャンルを選択することになります。
曲単位で「再生待ち」に送ることでプレイリスト編集も行えますが,プレイリストの保存機能がないためWMPを終了してしまうと再度作成する必要があり,実用的ではありません。
一方,アルバム単位などで再生する場合,ナビゲータボタンで素早く選択できるので通常はこちらを利用する方が無難でしょう。

ただし母艦上のWMP10と同期することで,プレイリストや楽曲を自動転送することができますので,つまるところは「こちらを使え」ということなのでしょう。
# Windows XPを利用していないユーザ※はどうするのか,問い詰めたくなりますが。

※ WMP10はWindows XPにしか対応していません。

同期機能に関しては,自動プレイリストの転送などもできるため「最新曲」とか「自動評価5つの曲」などを自動的に転送することも可能で,なかなか面白い機能です。
無論,手動転送も行えます。

ちなみに,これらの同期情報やDRM関連,ライブラリ情報は,SDやCFのルートに隠しフォルダ及び隠しファイル(WMPInfo.xml,WMDRM,MSMETADATA)を作成して保存するため,SDやCFを引っこ抜いて,母艦のメモリカードリーダに突っ込んでも,設定を維持したまま同期を行えます。USB2.0などの高速転送を利用できるのは便利でしょう。

ちなみに母艦との同期を行っても,Pocket PCのライブラリ情報は自動更新されないようですので,曲を入れ換えた後はPocket PC側でライブラリの再構築を行う必要があるのは少々面倒なところでしょうか。
# ものすごく待たされるという程ではありませんが,ファイル数によっては時間がかかる作業です。

まだ練り込みが必要な部分も散見されますが,アルバムを曲順に再生することすら満足にできなかった旧バージョンと比較すると,音楽再生専用機の利便性に一歩近づいたといえそうです。

また本バージョンからシークバー以外に,ボタン操作で早送りと巻き戻しが行えるようになったのも嬉しい改善点でしょうか。
# 利用するとフリーズするという話もあるようですが,私の環境では今のところ再現していません。再生ファイルは主にWMA 192Kbpsで利用中……。

ボタンへの機能割り付けはカーソルボタンなどの長押しにも対応した点はありがたいのですが,私の環境ではプログラムボタンに上手く機能を割り当てることができずに困っていたり。

同期時にアルバムジャケット画像が転送され,再生時に表示される〜という話を書き忘れてました。


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