Pocket PCって何?

さてPocket PC日本語版の発売もいよいよ週末に迫って来ました(2000/09/10現在)。

このページをご覧になっている方でPocket PCが何か分からないという方はいらっしゃらないとは思いますが,定義が紛らわしい印象もありますし,発売後はCE初心者の方もこのページを訪れるかも知れません(というか訪れて欲しい(^^;)からPocket PC用コンテンツを立ちあげるにあたって最初にPocket PCとはそもそも何であるかということについて簡単に解説して置くことにしましょう。


Pocket PCとは

Pocket PCとは一言で言えば『WindowsCE3.0を搭載したパームサイズデバイス』のことです。
CEの3.0以前のバージョンについては『WindowsCEの各バージョンについて』で解説していますので,そちらをご覧ください。

よく勘違いされがちなのですが,CE3.0をOSとして搭載することとPocket PCであることは完全にイコールではありません。
CE3.0搭載はPocket PCの必要条件ではありますが十分条件ではないのです。
つまりPocket PCとはパームサイズPC(Ps/PC)の後継モデルを指し,CE3.0を搭載したハンドヘルドPC(H/PC キーボード搭載モデル)の後継モデルはH/PC 2000と呼称されます。

何やら紛らわしいことこの上ないですが,この背景には商業的に失敗だった(?)WindowsCE…特にPs/PCを名称を変更することで心機一転巻き返しを図ろうという意図がある物と思われます。

これは余談ですがPocket PCでは今までと違いWindowsCE搭載を前面に押し出してはいません。
あくまでWindowsファミリーのひとつとして売り込もうとしているようで,実際E-700のニュースリリースなどを読むと『Windowsベース』といった用語を使って説明がされており,方針の転換が見て取れます。

# よくよく読めばOSはWindowsCE3.0搭載とちゃんと書いてある訳ですが。

こうした売り方は初心者にPocket PC=Windows(Win32)といった誤った認識を与えかねない(というよりはそれを狙っている)ある種卑怯な販売方法のような気もしますが,Pocket PCにおいてはシームレスにWordやExcelのファイルが扱えるということで,一般のユーザにとってOSの違いなどはもはや問題にならないのかも知れません。

# Win32用のアプリでも特に3D系のゲームなどは,推奨環境はCPUが何々でサポートしているビデオチップはこれこれでDirectX7以上…などと当然のように書かれていますから『このマシンはWindowsのPocket PC専用ソフトしか動かないよ』みたいな言い方も成り立つのかも…(苦笑)

ではPocket PCはPs/PCに比べてどこが変わったのでしょうか?

日本語版の実機がまだ発売されていないため,現段階で分かる点を列挙すると…

動作の高速化

ボタン類の3D表示を廃し,メモリ管理などを見直すなどの改良によって動作の高速化が実現。

ユーザインターフェースの大幅な刷新

スタートメニューが左下から左上に,メニューバーが上部から下部へ移動。タスクトレイの表示がToday表示時のみに変更。
ブラウザ同様シングルタップが操作の基本となりタップアンドホールドでコンテキストメニューが開けるようになった。

省略されていたアプリケーションの搭載と機能強化

Ps/PCでは何故か省かれてしまっていたPocketInternetExplorer,FileExplorer,PocketExcel,PocketWord,また新たにWindowsMediaPlayerが搭載に。
PIEはSSLやJavaScript,フレームなどに対応。
PExcelとPWordは母艦のExcelやWordのファイルを直接開くことが可能。
Mail機能は新たにIMAP4にも対応するなど大幅に機能強化が図られている模様。

ただ英語版で搭載されていたMicrosoftReader(電子ブックリーダ)やPocketMoney,Pocket Streets(地図ソフト)などが日本語版では国情の違いにより非搭載に。

USB接続をサポート

新たに母艦とのUSB接続をサポート。
シリアルに比べて高速な同期を実現。ただしUSBホストとしての機能はサポートしていないらしいのでUSB機器を接続して利用することは出来ないと思われる。

他にもSDカードへの対応など細々とした変更点もあるようですが,大まかな所はこんな所でしょうか。

今回のバージョンアップではざっとみた限りかなり魅力的な改良点ばかりが並んでいる訳ですが,他にも常々問題に感じていた高額な開発環境についても,米本国においてはeMbedded Visual Toolsの無償(厳密には実費)配布などが行われており,Pocket PC発表時にも大々的にプロモーションが行われるなどMicroSoftの力の入れようがうかがわれます。

MSの製品はVer3から使い物になるというジンクスから言っても期待が膨らむ所ですが,eMbedded Visual Tools日本語版の提供はいまだになく,CASIOもHPも発売直前だというのに何らプロモーションを行わないなど,日本での販売戦略には大いに疑問を感じる所です。

ほぼ同時期にSONY PalmことCLIEやTRGpro,m100などのPalm勢が発売ラッシュを迎える中でPocket PC陣営のこの盛り上がりのなさは一体なんなのでしょうか?

Palm勢に対抗するにはユーザコミュニティ側の盛り上がりが不可欠だと私は考えているのですが,そのあたりの方策をなんら講じようとしないあたり本気でPocket PCを成功させる気があるのか思わず疑いたくなってきます。

最後がちょっとネガティブな内容になってしまいましたが,登場するPocket PCデバイスが期待通りの素晴らしい物であることを信じたいものですね。